ビジネスモデルをつくる
新規事業「企画」のスタートに立つには
ビジネスアイデア(種)を「企画」に成長させる段階
さて、ビジネスアイデアがあったとして、社内で正式にプロジェクトとして取り上げてもらうには企画書が必要となります。
皆さんは、部下が企画書もってきたときに、どんな企画書を通しますか?
デザインが素晴らしいものですか?
分厚い企画書ですか?
私は以下の2つの要素が記されていれば「A4 一枚」でも承認します。
そして、以下の2要素なくして、企画を絶対前に進めてはいけません。
コンペリングイベント | この企画を「なぜ」立ち上げるべきなのか |
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ペインポイント | この企画が「なぜ」うまくいく見通しなのか |
コンペリングイベント
コンペリングイベントとは、今取り組む蓋然性(がいぜんせい)です。
新規事業の企画においては、必然性ではなく「蓋然性」に注目することがポイントとなります。
必然性 | そのイベントが起こることは確実で、それ以外は起こり得ないことを指す。 <例> 「平日と比べて、ゴールデンウィークに旅行者が増えるのは必然」 |
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蓋然性 | 「多分そうなる。そうかもしれないだろうが、確実ではない」という事象を指し、必然ではない。 <例> 「海外旅行を楽しむ人が増えているので、外国語を短期集中で勉強する人たちが増える蓋然性が高い」 |
~新規事業で蓋然性に着目する理由~
必然性の方に新規事業の着眼点を置いてしまうと、他の企業もすでに注目している渦中に身を投じることになります。つまり、必然性の高い事業は、他の企業とシェアを取り合う資本比べになるわけです。
ペインポイント
ペインポイントとは、「ある悩み・苦痛・ジレンマ」をお金で取り除けるなら、相応の対価を払ってでも解決したいというニーズ です。
ペインポイントを見つけるための「ペインストーミング」
① Person | 誰の課題を解決するのか |
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② Activities | 彼らが毎日行っていることは何か、そしてその結果はどうなるのか |
③ Insights | 目的達成のために次善策として工夫していることは何か。 彼らが仕方なく行っている行動やプロセス、仕方なく使っているツールは何か |
④ Needs | 顧客の問題や未充足ニーズの根源となっている、最も大きなペインポイント(痛点)は何か。彼らの痛みの原因となっているストレスや気がかり、不満は何か |
ペインポイントを特定する上で、重要なことは、まず「ペルソナ」を絞り込むこと!
ペルソナを絞ると、当然ターゲットとするマーケットサイズは縮小しますが、ペインポイントは具体化します。
ペルソナを絞らないと、無難なペインポイントしかでてこず、結果、競合商品に埋もれてしまいます。
ペルソナを絞ることでペインのエッジが立つわけです。
ものやサービスがあふれる今日、万人が求めるニーズを狙っても訴求力はゼロです。
ペルソナを絞り込んだ上で、ペインポイントを明確化し、そこをピンポイントで刺していきます。
刺さるサービスはペインポイントを捉えたサービスなのです。
ペルソナを設定する
できるだけ多くの人に買ってもらおうとすると、価値観が多様化している現在の市場では、ほとんど特徴のない商品になってしまい、結果、誰にも選んでもらえません。
エッジの利いた特徴を打ち出すにも「誰にとっての魅力なのか」を明確にする必要があります。
個人向け |
氏名、年齢、家族構成、居住地、出身校、年収、価値観、趣味・趣向、金と時間の使い方 例)吉田玲子さん、37才の主婦。7歳の男の子と3歳の女の子。夫は大手企業に勤務の39才。年収は870万円。東京都練馬区のマンションに居住… |
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法人向け | 業種・業態、企業規模、重視しているもの(機能、品質、価格、納期、サービス、受注単位など |
6W2Hで整理する
ビジネスモデルに必要な要素を「6W2H」で整理します。
これにより、現状不足している要素、まだ未確定な要素を認知することができます。
What(何を) | 当該ビジネスアイデアは何をやるのか(製品やサービス)。 また、その製品やサービスの「コア・バリュー(提供する価値の核)」は何か。 |
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Why(なぜ) | なぜそのビジネスをやるのか。 特に、当該ビジネスアイデアで解決できる具体的な課題は何か。 |
Who(誰が) | 当該ビジネスは誰がやるのか。 どのような人や企業や組織とともに行うのか。 また、当該ビジネスアイデアに特定の知識、技術、経験が必要か。 |
Whom(誰に) | 当該ビジネスで生み出された製品やサービスは誰に対してのものなのか。 また、どういった課題を持つ個人や法人や組織に対するものなのか。 |
Where(どこで) | 当該ビジネスはどこで実施するものか(ターゲットの市場、国、業種、業態など)。 |
When(いつ) | 当該ビジネスをいつ始めたいのか。 また新規事業開発中にいつ何をやるのか。 |
How(どのように) | 当該ビジネスの製品やサービスをどのように生み出すのか(そのプロセス)。 |
How much(いくら) | 初期投資額 初年度~5年目までにかかる経費 初年度~5年目までの売上 |
ビジネスモデルをつくる
ここまで進めば、次はビジネスアイデア(種)を「ビジネスモデル」へと成長させます。
ビジネスモデルとして見える化していくことで、アイデア段階では見えなかった弱点(解消しなければならない問題)が見えてきます。
ビジネスモデルの定義は、「どのように価値を創造し、顧客に届けるかを論理的に記述したもの」とされます。
つまり、ビジネスモデルは「価値を創造し、価値を提供するための設計図」といえます。
ビジネスアイデア(種)を「ビジネスモデル」として設計図に落とし込んでいくわけですが、その際に「6W2H」とつながったビジネスモデル(設計図)を作り上げていきます。
新規事業には6W2Hが極めて重要
ビジネスモデルを考えていくうえで、6W2Hのつながりや因果関係に「筋が通っている」ことが重要です。
※筋が通っていない新規事業は、どこかに無駄や無理があるため、運営がうまく回らず、キャッシュフローも健全に回りません。
この6W2Hの要素同士の関係性に筋が通っているかを確かめる上で、次に紹介するビジネスモデル・キャンバスはとても適しています。
「ビジネスモデルキャンバス」について
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスの構造を可視化したものです。
このビジネスモデルキャンバスを策定する中で、アイデアの時には見えなかった弱点や、優位性を発見することができ、ビジネスモデルのブラッシュアップに繋げられます。
ビジネスモデルキャンバスは、9つの要素から構成された1枚のシートでビジネスモデルを表現することができます。
手順 | 要素 | 内容 |
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① | 与える価値 (世の中の課題を解決する価値) |
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② | 顧客 |
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③ | 顧客との関係 |
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④ | チャネル |
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⑤ | 主要な活動 (キーアクティビティ) |
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⑥ | 主要な資源 (キーリソース) |
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⑦ | キーパートナー |
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⑧ | 収入 |
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⑨ | コスト |
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① | 与える価値(世の中の課題を解決する価値) |
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② | 顧客 |
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③ | 顧客との関係 |
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④ | チャネル |
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⑤ | 主要な活動(キーアクティビティ) |
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⑥ | 主要な資源(キーリソース) |
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⑦ | キーパートナー |
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⑧ | 収入 |
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⑨ | コスト |
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