• 事業承継コラム

事業承継の相談は税理士で大丈夫?おすすめの相談相手や選び方とは

事業承継の相談は税理士で大丈夫?おすすめの相談相手や選び方とは

(1)経営者の最初の事業承継の相談先は?

経営者がいざ事業承継に本格的に取り組んでいこうとなった時、親族に相談する以外では下記の専門家に相談されることが多いかと思います。

① 顧問税理士(公認会計士)

最初に相談する相手は、やはり顧問税理士でしょう。
会社の内情や、周りには相談しにくいお金のところを把握している顧問税理士は、意思疎通が図りやすく、一番相談しやすい相談相手です。

② 取引先金融機関

取引先金融機関も、事業承継を進めるにあたり相談しやすい存在かと思います。金融機関も最近は事業承継に力を入れているところが多く、提携している専門家を紹介してくれるケースが多くなっています。
ただ、後継者が未定の場合は、融資姿勢に影響することを懸念され、相談しにくいといった声も聞かれます。

③ 商工会議所

商工会議所も、多くの経営者にとって身近で、何かしら関わりがある場所であり、事業承継に詳しい専門家に無料で相談をすることができます。

他にも、事業の引継ぎ先を見つけるのを主な目的として、公的な相談窓口である「事業承継引継ぎ支援センター」にアドバイスを求められる経営者や、事業承継を得意とする民間コンサルティング会社への相談も増えています。

(2)同じ「税理士」であっても専門性は異なる ~医者と同じ~

当社グループにも、税理士が所属していますので自己否定するわけではないですが、事業承継に際して顧問税理士が、適切かつ専門的なアドバイスができるかというと、そうではありません。
経営者から見たら、「同じ有資格者なのだから、税理士なら大丈夫だろう」と考えがちですが、同じ税理士でも、法人の申告業務を主業務として行っている税理士と、相続・事業承継を専門にしている税理士では、専門性がまったく異なります。
そういう意味では医者と同じです。内科と外科の専門性が異なるのと同様です。

実際、私どもに経営者から「うちの顧問税理士では、事業承継に専門性がないようで、積極的な提案をもらえなかった」といった声を聞くことが多いです。
また金融機関や商工会議所からの専門家紹介も、結局は私どものような事業承継の専門家の紹介になっているのが実態です。

(3)そもそも事業承継対策は、節税や納税資金対策だけではない

事業承継とは、「人」「物」「金」そして「知的資産」を上手く引き継ぐことであり、その事業承継を契機として「経営革新」を果たし、新しい成長局面に入ることこそが、事業承継の真の目的と考えます。
「事業承継=相続税対策」と見られがちですが、それは事業承継の取り組みの一部に過ぎません。

「人(経営権など)」の承継

  • 経営権
  • 後継者の選定、育成
  • 後継者を補佐する人

「物・金」の承継

  • 事業用資産(設備・不動産等)
  • 自社株式
  • 資金(運転資金・借入金等)
  • 経営者保証
  • 個人の財産(贈与税・相続税対策)

「知的資産」の承継

  • 経営理念
  • 経営者の信用
  • 取引先とのコネクション
  • 従業員の技術、ノウハウ
  • 会社のブランド
  • 特許
  • 顧客情報
  • 許認可

つまり、節税や納税資金対策というテクニカルなアドバイスだけでは足りないのです。
事業承継対策の本質は「いかに事業価値を高め、成長発展をできるような会社にするか」であり、企業経営そのものへのアドバイスが必要となります。

(4)各専門家は得意分野が異なり、部分最適になりがち(得意分野の提案に留まる)

事業承継に明るい専門家だとしても、下記のようにそれぞれ得意とする分野が異なり、専門性のある分野だけでの提案になりがちです。

つまり、事業承継の相談を持ち掛けても、税理士なら節税の提案となり、保険会社なら保険の提案となってしまい、各専門家から提案されるのは、自分の専門分野に特化した「部分最適」にとどまっています。

① 顧問税理士

事業承継における相続税や贈与税など税に関する相談は適切なアドバイスができることが多いです。
また、株式評価や、不動産や生命保険を活用した自社株対策についても相談できるでしょう。

② 弁護士、司法書士、行政書士

相続における争いや、相続に関する法的論点、株式譲渡における会社法上の問題、遺言書、不動産登記や民事信託の利用については弁護士や司法書士などの法律の専門家が得意としているところです。

④ 行政書士

戸籍に関する事項や、事業譲渡契約書などは行政書士が良いかと思います。

⑤ 中小企業診断士

後継者が継ぎたくなるような会社へ磨きこみをすることや、後継者が承継した後の経営革新やマネジメント体制へのサポートは中小企業診断士が得意とするところです。

⑥ 保険会社、保険代理店

保険の節税メリットは少なくなりましたが、保険を活用した退職金準備などの面においては、保険会社や保険代理店が専門としています。

上記のように、各課題に対して、得意とする専門家がいるわけですが、経営者が、課題に合わせて、いちいち専門家(相談相手)を変えることは大変なことです。

(5)事業承継士とは

事業承継士は、事業承継の唯一の資格であり、その専門性は折り紙つきです。
経営者のハッピーリタイアメントに向けて、事業承継の全体最適(弁護士や税理士をコーディネートする立場)する事業承継の専門家です。
またそもそも事業承継士になるには、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士、司法書士など国家資格の保有者などが受験資格として求められ、誰もがなれるわけではありません。

これまでお伝えしたように、相続対策、節税対策は事業承継の一つの側面でしかありません。
各専門家が現在提供しているのは、自分の専門分野に特化した部分最適にとどまっています。
事業承継とは節税対策や争族防止のみならず、会社の理念/儲かる仕組み/独自のノウハウ/企業文化を承継し、後継者による更なる成長を図ることであり、幅広い知識とノウハウが要求される『全体最適』です。

事業承継士は、これらの諸問題を総合的に解決することのできる唯一の資格者であり、単なる相続対策、節税対策にとどまらず、弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士といったそれぞれの専門家をコーディネートする立場にあり、個別最適ではなく全体最適を目指して支援することができます。

(6)相談相手のポイントは、事業承継の全体をコーディネートでき、各専門家と連携できる体制がある先か

事業承継は、多岐に渡る専門的な知識が必要となり、そういう点では、各専門分野の専門家と連携でき、事業承継全体の知見がある方がベストと考えます。
私ども新経営グループも中小企業診断士、税理士、司法書士、行政書士などの各専門家が在籍する他、また事業承継協会に所属する各専門家(事業承継士)を駆使して、貴社の事業承継対策にベストな答えを出せる体制となっております。

文責

中谷 健太

株式会社新経営サービス 経営支援部マネージャー
事業承継士/中小企業診断士/認定経営革新等支援機関/補助金コンサルタント

なかなか進まない事業承継にお困りの方は、新経営サービスにご相談ください。事業承継と経営革新の専門家が現経営者と後継者の間に入り、相続・節税対策、経営権・知的財産の引継ぎと円滑な事業承継を実現します。