BCP
事業継続計画で混同しがちなBCP、BCM、BCMS、DRPの用語解説
2022年01月13日
事業継続計画の策定に取り組む際、最初に混乱するのが「用語」です。BCP、BCM、BCMS、DRPなどなど、似たような言葉が多く、自社は一体何に取り組むのか分からない状態に陥ってしまいます。
本コラムでは、混同しがちな類似用語について簡単に解説します。
もくじ
BCPとは、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の略です。
読み方は、ビーシーピーです。
災害時に重要業務が中断しないこと、また、万が一事業が中断した場合に目標復旧時間内に重要な機能を再開させ、業務中断に伴う顧客取引の競合他社への流出、マーケットシェアの低下、企業評価の低下などから企業を守るための計画を指します。
一言で言えば災害に備えて、ヒト・モノ・カネ・情報のリカバリー・リスタート方法を考えておく計画のことです。
BCMとは、事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の略です。
読み方は、ビーシーエムです。
BCPを実施するために必要なマネジメント体制のことを指します。BCPはあくまで計画書であり、その計画を実行、管理する体制のことをBCMと言います。
平時に企業担当者がBCMを実施する場合は、避難訓練や必要物資の期限チェック、連携企業との定期的な打ち合わせなどが挙げられます。
有事に企業担当者がBCMを実施する場合は、社員の安全確認の点呼、避難動線の確保、機械の復旧など、事業の継続に向けた具体的な活動がBCMとなります。
BCMSとは、事業継続マネジメントシステム(BCMS:Business Continuity Management System)の略です。
読み方は、ビーシーエムです。
私見ですが、BCMSはやや言葉遊びになっていて、ほぼBCMと同義だと捉えています。違いはBCMがある行動1点を指すことに対して、BCMSは改善、検証も含めた一連のマネジメントシステムのことを指します。
DRPとは、災害復旧計画(DRP:Disaster Recovery Plan)の略です。
読み方はディーアールピーです。
DRPについては、これだ!という明確な定義は見つからず、定義によっては、主に災害時のシステム復旧だけを指す場合もあります(おそらくリカバリーという言葉が入っていることが要因)。
私見では事業継続計画と似た概念ですが、DRPは主に災害に対する復旧に焦点を当てており、BCPとが異なり、事前の対策は記載されていません(避難訓練など)。BCPの中にDRPが含まれるイメージです。
また、DRPには、下記の3つの指標が使われることがあります。
RTOとは、目標復旧時間(RTO:Recovery Time Objective)の略です。
読み方は、アールティーオーです。
事故後、業務を復旧させるまでの目標期間(時間)を指します。
RPOとは、目標復旧ポイント(RPO:Recovery Point Objective)の略です。
読み方は、アールピーオーです。
事故後に事故前のどの時点までデータを復旧できるようにするかの目標時点(時間)を指します。
RLOとは、目標復旧レベル(RLO:Recovery Level Objective)の略です。
読み方は、アールエルオーです。
事故後、業務を どのレベルまで復旧させるか、あるいは、どのレベルで継続させるかの指標を指します。
ここまでの用語をまとめると、下図のようなイメージとなります。
改めて用語を定義することで、自社は今回どこまで策定するのか、どの範囲まで対応すべきなのかが明確になりますので、参考にしていただければ幸いです。
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