経営革新計画
経営革新計画の書き方:7つのポイントを押さえれば作成できる
2021年12月07日
中小企業が国や都道府県の支援制度を利用するとき、申請時に経営革新計画の添付を求められることがあります。
経営革新計画の作成は、支援制度の申請書類のなかで最も難易度が高いとされています。
経営革新計画には7つのポイントがあるので、1つずつ書き方を解説します。
実際に経営革新計画をつくるときは認定経営革新等支援機関などのサポートを受けることができますが、中小企業の経営者や総務部長も7つのポイントは押さえておいたほうが作成作業はスムーズに進むはずです。
経営革新計画の書き方を分かりやすくまとめた「経営革新計画の書き方ガイド」を無料ダウンロードいただけます。
もくじ
この計画に盛り込むこと
経営革新計画に記入する内容は、大きく次の7項目になります。
- 経営革新の目標
- 経営革新による経営の向上の程度を示す指標
- 経営革新の計画期間
- 経営革新の内容および実施時期
- 経営革新を実施するために必要な資金の額およびその調達方法
- 組合等が経営革新に係る試験研究のための費用に充てるためその構成員に対し負担金を賦課しようとする場合にあっては、その賦課の基準
- その他
1つずつみていきましょう。
「1. 経営革新の目標」はどう書くのか
「1. 経営革新の目標」には、現状はこうだが、こういう課題があるため、こういう新しいことをして、将来はこうなる、といった内容を書きます。
経営革新計画は、事業者が新事業活動をすることで、経営を相当程度向上させるためにつくります。
そのため、「1. 経営革新の目標」には、これから取り組む新しい何かを書かなければなりません。そしてその新しい何か(新事業活動)に取り組んで成功すると、会社がどのような姿になっているのかも書きます。
新事業活動には次の4つの類型があり、1つ以上を選択します。
<新事業活動の4つの類型>
- 新商品の開発、または生産
- 新役務(新サービス)の開発、または提供
- 商品の新たな生産、または販売の方式の導入
- 役務(サービス)の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動
「2. 経営革新による経営の向上の程度を示す指標」はどう書くのか
経営革新計画では、会社が将来、どのような姿になっているか具体的に示さなければなりません。具体的に示す、とは、数値を示す、ということです。
そのため「2. 経営革新による経営の向上の程度を示す指標」には数値目標を書きます。
経営の向上の程度を示す指標は、付加価値額、1人当たりの付加価値額、給与支給総額の3つになります。
<経営の向上の程度を示す指標>
- 付加価値額
- 1人当たりの付加価値額
- 給与支給総額
付加価値額とは、営業利益と人件費と減価償却費の合計額のことです。
1人当たりの付加価値額は、付加価値額を従業員数で割った額です。
給与支給総額は、役員と従業員に支払う給料、賃金、賞与、給与所得とされる手当(残業手当、休日出勤手当、家族手当、扶養手当、住宅手当など)を含み、給与所得とされない手当(退職手当や福利厚生費など)は含みません。
そしてこれが重要なのですが、この3つの指標を、何年間で何%増やすのか明記します。
この3つの指標の数値を増やすための計画が、経営革新計画というわけです。
「3. 経営革新の計画期間」はどう書くのか
経営革新計画の計画期間は、研究開発期間がある場合とない場合で異なります。
研究開発期間がある場合の計画期間は、3~8年間の間で決めます。さらに、研究開発期間を除く期間(新事業活動を実施する期間)も別途、3~5年間の間で決めます。
例えば、計画期間を8年とし、その内訳を研究開発期間3年、新事業活動実施期間5年、といったように決めます。
研究開発期間がない場合の計画期間は3~5年間の間で決めます。
「4. 経営革新の内容および実施時期」はどう書くのか
「4. 経営革新の内容および実施時期」には、新事業活動として具体的に何をするのか書きます。新事業活動が複数個あったらすべて書き、それぞれにどのような新規性、独自性があるのかも説明します。
新事業活動は、先ほど選択した4つの類型にマッチしているはずです。したがってここでは「選択した類型とおりであること」を説明しなければなりません。
例えば4つの類型から、「1、新商品の開発」を選んだとしたら、その新商品がどのように新しく、他社の類似商品と比べてどのように優れているのかをアピールします。
(再掲)<新事業活動の4つの類型>
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「4. 経営革新の内容および実施時期」にはさらに、既存事業の内容も書きます。既存事業を明記することで、新事業活動(経営革新の内容)が新しくて革新的であることがわかります。
そして、新事業活動をいつから着手して、いつまでに目標を達成するのかも明記します。時期は四半期単位(3カ月ごと)で書きます。
例えば、新商品を開発するには、プロジェクトチームを立ち上げて、新商品の企画を立てて、開発に着手して、試作品をつくって、量産体制を構築して、販路を開拓していく必要があります。
これらの業務を、いつから始めて、いつ完了させるのかを書きます。
「5. 経営革新を実施するために必要な資金の額およびその調達方法」はどう書くのか
「5. 経営革新を実施するために必要な資金の額およびその調達方法」は、売上高予測や原価予測、経常利益予測、経費予測などから、必要な資金調達額を導き出します。
新事業活動を行うので、売上高も原価も経費も上昇するはずです。そして新事業活動が利益を生むまで時間がかかることから、売上高の増加より、原価や経費などの増加のほうが大きくなると考えられ、つまり「何もしなければ」資金ショートが起きる可能性があります。その資金ショートを穴埋めするのが、資金調達になります。
必要な資金調達を算出できたら、どこからいくら借り入れるかも記入します。
例えば、必要な資金調達額が1億円と算出できたら、政府系金融機関から5,000万円借り入れる、民間金融機関から3,000万円借り入れる、自己資金を2,000万円投入する、といったように「お金の出所」と額を書きます。
「6. 組合員の賦課の基準」はどう書くのか
「6. 組合等が経営革新に係る試験研究のための費用に充てるためその構成員に対し負担金を賦課しようとする場合にあっては、その賦課の基準」には、●試験研究の名称●取り組む年度●賦課基準●負担金の合計額とその積算根拠●構成員別の賦課金額とその積算根拠、を書きます。
組合でなければこの欄は記載しません。
「7. その他」はどう書くのか
「7. その他」には、例えば新事業活動を大学や公設試験研究機関、他社などと連携して行う場合、その内容を記載します。
まとめ~ 新経営サービスにご相談を
経営革新計画は、行政機関に提出する書類・資料のなかで特に難しいものの1つに数えられています。
経営革新計画をつくっても、都道府県や国などの承認を得ないと「有効」になりません。計画のなかで示した目標が低ければ革新的でないと指摘され、目標が高すぎると本当に達成できるのかと疑われてしまうでしょう。
「経営革新計画をつくろう」と思ったら、ぜひ当社、株式会社新経営サービスにお問い合わせください。
当社、株式会社新経営サービスの専任コンサルタントである中谷も、企業の経営革新計画づくりをサポートする、認定支援機関に登録しているからです。
当社は経営革新計画についての相談を、無料で承っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。
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