経営革新計画
ものづくり補助金を確実にするなら経営革新計画をつくったほうがよい理由
2022年03月15日
中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(以下、ものづくり補助金)は、中小企業が経営革新のために設備投資などをしたときに費用補助をする内容で、補助額は最大1,000万円(グローバル展開型は3,000万円)となっています。
もし企業がものづくり補助金の受給を目指しいている場合、経営革新計画をつくっておいたほうが有利になります。
この補助金と経営革新計画の関係について解説します。
もくじ
経営革新計画があると加点される「合格の可能性が高くなる」
企業が経営革新計画をつくっておくと、ものづくり補助金の獲得に有利になるのは、審査のときに加点されるからです。
ものづくり補助金を獲得するには、条件をクリアする必要がありますが、そのハードルは低くありません。それは、中小企業庁などが、企業から提出された申請書類を厳しく審査するからです。
そのため加点が合否のカギを握るかもしれません。
審査は厳しい、と覚悟しておく
ものづくり補助金の申請審査において最も厳しくチェックされるのが、事業計画書です。これはものづくり補助金専用のもので、経営革新計画とは別の計画書です。
事業計画書が水準に達していないと、審査に落ちてしまうことになります。
中小企業庁などは、事業計画に技術的な革新性があるか、課題や目標は明確か、課題解決の方法に優位性があるか、市場ニーズは高いか、事業化スケジュールは妥当か、補助金の費用対効果は高いか、地域経済に効果が波及するか、イノベーション性は高いか、といったことを調べます。
審査をパスすることは簡単ではありません。
加点は救済策の意味合いもある
ただそれではあまりに厳しすぎるので、ものづくり補助金制度には救済策のようなルールがあります。それが加点制度です。
審査は点数方式で行われるのですが、事業計画書の点数が合格点に届いていなくても、加点がプラスされることによって合格点に届けば審査を通過することができます。
つまり経営革新計画をつくっておけば、ものづくり補助金を獲得できる確率が高くなる、というわけです。
ものづくり補助金の加点の仕組み
ものづくり補助金の加点の仕組みをさらに詳しく解説します。
まずは加点がない場合を解説
ものづくり補助金を申請するとき、提出しなければならない書類と、提出したほうがよい書類があり、後者が加点用の書類になります。
まずは加点に関係しない、すべての申請者(企業)が提出しなければならない書類について紹介します。
ものづくり補助金を申請するには、必ず以下の3つまたは4つの書類を提出する必要があります。
- 書類1:事業計画書
- 書類2:賃金引上げ計画の表明書
- 書類3:決算書など
- グローバル展開型のみ:書類4:海外事業の準備状況を示す書類
事業計画書には、補助事業の具体的な取り組み内容や将来展望、付加価値額などの算出根拠を記載します。
賃金引上げ計画の表明書とは、補助対象の事業を行うことで、従業員の賃金をどれくらい上げるかを示すものです。
例えば「給与支給総額を年率X%増やし、最低賃金+Y円以上にする」といったことを書きます。
中小企業庁は、ものづくり補助金を企業に支給することで企業が従業員の給与を上げることを求めています。
「決算書など」は損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などのことです。
また設立後間もないため決算書を提出できない場合は、設立事業計画書でもかまいません。
また個人事業主の場合は、確定申告書などの提出が必要になります。
ものづくり補助金には一般型の他に、海外事業の拡大を目指す企業向けのグローバル展開型があります。
グローバル展開型を選択した場合は、海外事業の準備状況を示す書類が必要です。具体的には、海外子会社等の事業概要、海外市場調査報告書、インバウンド市場調査報告書、共同研究契約書などになります。
加点は4種類ある
加点には以下の4種類があります。経営革新計画による加点は、1)の成長性加点になります。
1)成長性加点:経営革新計画の承認書があると加点される
2)政策加点:創業間もない事業者、第2創業後間もない事業者、パートナーシップ構築宣言をしている事業者は加点される
3)災害等加点:事業継続力強化計画の認定を取得している事業者は加点される
4)賃上げ加点:給与支給総額を年率平均2%以上、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上にしている事業者などは加点される
経営革新計画で加点を得る意義とは
加点が多いほど審査は有利になり、補助金を獲得できる可能性が高くなるわけですが、中小企業庁は、どれくらい加点するかや、どれくらい有利になるかは公表していません。
このように説明をすると「それなら、わざわざ経営革新計画をつくる意義はあるのか」と感じるかもしれませんが、意義はあります。
なぜなら経営革新計画を持っている事業者は、経営や成長に高い意識を持っている企業とみなされるからです。また、経営革新計画を用意してものづくり補助金の申請に臨んでいれば、それだけ本気度をアピールできます。
ものづくり補助金は「中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するもの」です。
要するに、頑張っている企業を応援する補助金ということができます。
経営革新計画を持っていることは「頑張っていること」のPRになるはずです。
ものづくり補助金と経営革新計画の基礎知識
ものづくり補助金の加点のルールと、経営革新計画との関係についての解説は以上となりますが、ここでおさらいの意味で、ものづくり補助金と経営革新計画の概要を紹介しておきます。
- ものづくり補助金の概要
補助内容は1)革新的な製品・サービス開発、2)生産プロセス・サービス提供方法の改善、の2項目に必要な設備・システム投資などを支援すること。
補助金の額と補助率は、一般型が「100万~1,000万円、1/2または2/3」、グローバル展開型が「1,000万~3,000万円、1/2または2/3」。
補助対象経費は機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費など。 - 経営革新計画の概要
事業者が新事業活動を行うことによって、経営の相当程度の向上を図ることができる経営革新を盛り込んだ計画。根拠法は中小企業等経営強化法。
計画を公式のものにするには、都道府県の承認を得なければならない。
経営革新計画を持っていると加点されるだけでなく、経営革新計画がないと受けられない公的支援もある。
加点だけではない経営革新計画をつくるメリット
企業が経営革新計画を持つことで得られるメリットは、ものづくり補助金の加点だけではありません。
経営革新計画を必要とする公的支援がある
経営革新計画を持っていないと受けられない公的支援には次のようなものがあります。
<経営革新計画を必要とする公的支援>
- 保証・融資の優遇措置
(1)信用保証の特例
(2)日本政策金融公庫の特別利率による融資制度
(3)高度化融資制度
(4)食品等流通合理化促進機構による債務保証 - 海外展開に伴う資金調達の支援措置
(1)スタンドバイ・クレジット制度
(2)中小企業信用保険法の特例
(3)日本貿易保険(NEXI)による支援措置 - 投資・補助金の支援措置
(1)起業支援ファンドからの投資
(2)中小企業投資育成株式会社からの投資
(3)経営革新関係補助金 - 販路開拓の支援措置
(1)販路開拓コーディネート事業
(2)新価値創造展
会社の道しるべになる
補助金や公的支援の利用を考えていない企業にも、経営革新計画をつくるメリットがあります。
経営革新計画は、会社の経営や事業活動の道しるべになります。
経営革新計画には、新事業活動への取り組みを盛り込みます。
ここでの新事業活動とは、1)新商品の開発または生産、2)新サービスの開発または提供、3)商品の新たな生産または販売の方式の導入、4)サービスの新たな提供の方式の導入とその他の新たな事業活動、の4項目です。
これらは会社の成長に欠かせない取り組みです。
経営革新計画にはさらに、数値目標を記載しなければなりません。例えば3年計画を立てる場合、付加価値額は9%以上、経常利益は3%以上上昇させる内容にする必要があります。
数値目標を立てることで、経営者と従業員に緊張感が生まれるはずです。
経営革新計画をつくることで、会社の将来像を見える化することができます。
「ものづくり補助金を獲得したい」と思ったら新経営サービスにご相談を
ものづくり補助金は、企業の重要な事業資金になるはずです。補助金を受給できると、設備投資の額を増やすことができ新事業の推進に有利になるでしょう。このお金は会社の未来をつくるお金です。
ものづくり補助金の受給を確実にするために、経営革新計画をつくって加点を狙いましょう。
新経営サービスは、企業様の経営革新計画づくりをサポートします。経営革新計画は都道府県の承認を得ないと公式のものにならないので、企業様がこの計画を「つくろう」と思い立ちましたら、ぜひ新経営サービスにご一報ください。
新経営サービスなら、経営革新計画づくりに加えて、ものづくり補助金受給のためのアドバイスもいたします。