中小企業の経営ノウハウ
中小企業は「両利きの経営」をすべき
2021年08月20日
前回のコラムで大事なことは、
- 経営者としては、必ずまた大きな●●ショックといえる経済危機が10年内に来ると思っておいた方がよい。
- それを見据えると「一極集中型の事業」だけはリスクが高く、今後5~10年でしっかりした収益の柱を数本立ち上げていく(収益の分散化)
を伝えてきました。
「好況よし、不況さらによし」
不況下では、人々の行動パターンの変化や企業のコストカットなどに伴い、新たな課題やニーズが生まれやすい傾向にあります。つまり新規事業にとってはチャンスなわけです。
松下幸之助氏の「好況よし、不況さらによし」といった、不景気こそ千載一遇のチャンスという景観観は有名です。
「両利きの経営」へ
中小企業経営のセオリーとも言われてきたように、『選択と集中』がこれまで良いとされてきました。
その名の下では、既存事業の深掘りをするが、新しい領域で活路を開くということをあまりやってきませんでした。新規事業に出ていく場合も、これまでの事業を少し拡張していくという、いわば『染みだし』です。特に中小企業では、以前からある製品のスペックを少し高めた新製品開発の発想にとらわれがちです。
今後は、『両利きの経営』が重要となるでしょう。
「両利きの経営」とは
- 知の深化・・・自身・自社の持つ一定分野の知を継続して深掘りし、磨き込んでいく行為
- 知の探索・・・自身・自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうとする行為
の双方の行為を必要とされ、この両利きの経営が行えている企業ほど、イノベーションが起き、パフォーマンスが高くなる傾向は、多くの経営学の実証研究で示されています。
「成熟企業にとっての永遠の難題は何か。中核事業を維持しながら、同時にイノベーションを起こし、新たな成長を追求していくことである。本書は、それに対する洞察に満ちた解決策を提供してくれる」 ――クレイトン・クレイテンセン(ハーバード・ビジネス・スクール教授)
これから新規事業に出ていく場合も、これまでの事業を少し拡張していくという、いわば『染みだし』ではなく、これまでの自社の認知の範囲を超えた新事業展開という発想が、会社を新たな成長に導いてくれるでしょう。