経営革新計画
経営革新計画のメリット~新しい取組みをするなら、計画承認を目指すべき!~
2021年09月17日
経営革新計画が承認されると、多様な支援を受けることができます。
とくに、補助金活用や、資金調達(低利融資・投資)、販路開拓のチャンスが拡がります!
ここでは、筆者のこれまでの経営革新計画策定支援経験から、主だった(利用度が高い)支援策を簡潔に紹介します。
都道府県独自の経営革新計画承認企業向けの施策も注目です。
もくじ
補助金に有利!!
経営革新計画の承認を得ていると、補助金に有利です。
① 経営革新計画承認企業であることが要件の補助金、助成金に申請できる!
例:福岡県経営革新実行支援補助金
以前募集されていたもので、東京都中小企業振興公社の「革新的サービスの事業化支援事業」
その他にも、都道府県ごとに様々な補助金・助成金に申請できるチャンスあり!
② 一部の補助金審査で、経営革新計画が加点対象となり、採択されやすい!
例:ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)では、経営革新計画の承認を受けていると、審査時に加点の対象となります。
中小企業にとって、負担の重い「設備投資」を補助してもらえる「ものづくり補助金」は貴重です。
ものづくり補助金に採択される確率を高めるためのポイントは「加点項目」にあります。補助金採択の可能性を高めるにも、加点要素はできる限り取っておきたいところです。
低利での設備・運転資金の融資を受ける!!
経営革新計画の承認を得ていると、低利での設備・運転資金の融資や、信用保証の別枠設定が活用できます。
① 日本政策金融公庫から低利で融資を受けられる
日本政策金融公庫では、経営革新計画の承認を受けた中小企業者に対して、経営革新計画に基づく事業を行うために必要な設備資金及び運転資金を、特別利率を適用(基準金利より▲0.65%の金利)して融資します。また返済期間も長期であることも特徴です(設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)、運転資金7年以内(うち据置期間2年以内))。
ただし、経営革新計画の承認を受けても無条件で融資を受けられるわけではなく、日本政策金融公庫の審査があります。
★ちなみに、筆者の拠点である大阪府では、経営革新計画承認申請段階で、日本政策金融公庫国民生活事業への情報提供に関する同意をいただいた場合、日本政策金融公庫国民生活事業へ経営革新計画承認申請を連絡し、資金調達の円滑化を図っています。
② 信用保証の別枠設定が受けられる
「信用保証」とは、中小企業者が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が債務保証をする制度です。
経営革新計画の承認を受けた中小企業者は、⑴普通保証等の別枠設定と⑵新事業開拓保証の限度額引き上げを活用できます。
⑴普通保証等の別枠設定については、通常の保証枠は、限度額が2億円(無担保保証は8千万円)となっていますが、別枠も限度額が2億円(無担保保証は8千万円)となります。つまり合計で通常の保証枠の2倍の限度額になるわけです。
ただし、保証を受けられるかどうかは信用保証協会の審査があり、融資を受けるにあたっては金融機関の審査があり、また他の支援策による特別枠を既に利用されている方は、利用可能な枠が制限される場合があります。
③ 商工中金の融資も活用できる
経営革新計画の承認を受けた中小企業者及び組合等は、商工組合中央金庫(商工中金)の融資も活用できます。中小企業等経営強化法に定められた支援策ではありませんが、経営革新計画に取組む中小企業が活用できる金融機関として紹介します。
他にも、以下のような融資制度が活用できます。
④ 高度化融資制度
高度化事業とは、中小企業者が共同で工場団地を建設したり、商店街にアーケードを設置する事業などに対し、都道府県と独立行政法人中小企業基盤整備機構の診断・助言を受けた上で、長期・低利(高度化事業の内容によっては無利子)で融資が受けられるものです。
⑤ 食品等流通合理化促進機構による債務保証
経営革新計画の承認を受けた食品製造業者等は、経営革新計画の実行にあたり、金融機関から融資を受ける際に、食品等流通合理化促進機構による債務保証を受けられます。
販路開拓できるチャンス!!
経営革新計画の承認を得ていると、販路開拓の支援を受けられます。
① 販路開拓コーディネート事業で、マーケティング支援を受けられる
首都圏・近畿圏の市場をターゲットとした、経営革新計画承認企業等の販路開拓を促進するため、中小企業基盤整備機構(関東本部・近畿本部) に、商社・メーカー等の企業OBを「販路開拓コーディネーター」として配置し、新商品・新サービスを持つ企業の「マーケティング企画」から、企業への「テストマーケティング活動」までを支援します。
② ビジネスマッチング(展示会出展)のチャンス
具体的には、ビジネスマッチングの機会を提供するイベント(12月の東京ビッグサイトで開催される「新価値創造展」)に出展できるチャンスが拡がります。当イベントは、希望すれば必ず出展できるものではなく、応募者の中から書面審査により出展者を決定されます。この点、経営革新計画の承認を受けていると、審査において評価の対象となり、出展が叶いやすくなります。
③ 経営革新計画承認企業のシンボルマークが使える
例えば、大阪府では経営革新計画を承認した企業(大阪府経営革新計画承認企業)、承認された経営革新計画を実行し目標を達成した企業(大阪府経営革新計画達成企業)は、自社の取り組みなどをPRする際にシンボルマークを活用できます。他、都道府県にも同様のシンボルマークを付与する施策があります。
投資が得られる可能性!!
投資による資金調達を得て、健全な成長発展ができるチャンスが拡がります。
① 中小企業投資育成株式会社からの投資の可能性
中小企業投資育成株式会社では、原則として資本金が3億円以下の株式会社を対象としていますが、経営革新計画の承認を受けると資本金3億円超の株式会社も対象となります。
ただし、実際に投資を受けるには、経営の安定性や成長性などについて精査(審査)されます。
② 起業支援ファンドからの投資の可能性
他にも経営革新計画の承認が必要なわけではないですが、創業又は成長初期段階の有望なベンチャー企業等へ投資に向けて、民間のベンチャーキャピタル等が運営するベンチャーファンドへ中小企業基盤整備機構が出資を行い、当該ファンドがベンチャー企業等へ投資を行うことにより、資金調達支援及び経営支援を行う施策もあります。
海外展開に伴う資金調達の支援を受けられる!!
ここでは、詳細な解説はしませんが、中小企業者が承認経営革新計画に従って海外において経営革新のための事業を行う場合、①現地子会社の資金調達支援や、②海外展開のための国内における資金調達支援を受けることができます(※経営革新計画の承認は支援を保証するものではなく、計画の承認後に別途、各支援機関による審査が必要)。
- スタンドバイ・クレジット制度(株式会社日本政策金融公庫法の特例)
- クロスボーダーローン制度
- 中小企業信用保険法の特例
- 日本貿易保険(NEXI)による支援措置
【動画で解説】経営革新計画のメリット
経営革新計画の書き方を分かりやすくまとめた「経営革新計画の書き方ガイド」を無料ダウンロードいただけます。