BCP
BCP(事業継続計画)とは?策定・構築の手順とポイント
2023年04月06日
もくじ
BCP(事業継続計画)とは?
BCPとは「事業継続計画(Business Continuity Plan)」のことで、災害などの緊急事態が起きた際に事業を継続させるための計画や対策を指します。中小企業庁のホームページでは以下のように説明されています。
「BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
緊急事態は突然発生します。有効な手を打つことができなければ、特に中小企業は、経営基盤が脆弱なため、廃業に追い込まれるおそれがあります。また、事業を縮小し従業員を解雇しなければならない状況も考えられます」※出典:中小企業庁ホームページ
(https://www.chusho.meti.go.jp/BCP/contents/level_c/BCPgl_01_1.html)
BCPは、企業にとって作成義務はありませんが、先述の通り、地震や災害等が発生した際、BCPがなかったために重要な事業が継続できなかったり、それにより取引先とトラブルが発生したりと、企業にとって大きな問題が発生する可能性があります。
たとえば南海トラフ地震のような大型地震が発生した場合、オフィス損壊や従業員死傷などによって、事業資産が損なわれる可能性があります。
資産の損害が激しい場合、事業を早期に復旧できず、最悪の場合廃業に追い込まれる可能性もあります。そこで「平常時の活動」および「緊急時における事業継続の方法」を定めて、どのような状況でも強い経営基盤を作り上げるのがBCPです。
国内のBCP策定状況
実際にBCPを策定している企業はどれくらいあるのでしょうか?まずは、帝国データバンクが発表した資料をもとに大企業・中小企業のBCP策定率を確認してみましょう。
大企業のBCP策定状況
まず、大企業のBCP策定率ですが、帝国データバンクの調査によると2022年度時点で33.7%の企業がBCPの策定に至っています。
多くの大企業ではリスクマネジメントの一環としてBCPの策定を進めており、昨今の豪雨・地震などの自然災害や情報漏えい防止の観点からBCP策定に至ったケースが見受けられます。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により、感染症に対応したBCPの策定が急務となるなど、企業を取り巻くリスクが増大したことがBCP策定のきっかけとなっているようです。
年度 | BCP策定率(%) |
---|---|
2018年 | 26.7% |
2019年 | 29.2% |
2020年 | 30.8% |
2021年 | 32.0% |
2022年 | 33.7% |
※出典:㈱帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2022 年)」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220606.pdf
中小企業の策定状況
一方、中小企業は2022年度の時点で14.7%の企業がBCP策定済みとなっており、大企業と比較して低く推移しています。
中小企業のBCP策定が進まない理由として、BCP策定のためのスキル・ノウハウが不足していることや、策定にかかる時間・設備投資などの費用・人材確保が難しいことが挙げられます。
また、下請業務が中心としてなっている中小企業の場合、取引先の状況に左右されるため、自社のみでBCPを策定しても、効果が期待できないといったことも中小企業のBCP策定率が低く推移している要因と考えられます。このように、中小企業のBCP策定には様々なハードルがあるのです。
年度 | BCP策定率(%) |
---|---|
2018年 | 11.7% |
2019年 | 11.5% |
2020年 | 13.6% |
2021年 | 14.7% |
2022年 | 14.7% |
※出典:㈱帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2022 年)」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220606.pdf
BCP(事業継続計画)が必要である理由
BCPが必要である理由として以下が挙げられます。
企業の事業継続性を保つため
先述の通り、BCPとは緊急事態発生時において事業資産の被害を最小限に留め、中核となる事業を継続するための計画です。
緊急事態時に冷静且つ的確な判断と行動ができなければ、被害がさらに拡大し、復旧が長期化する可能性が高まるでしょう。
その場合、最悪のケースでは、事業が停止してしまうこともあり得るため、企業の存続をも脅かす事態になりかねません。
そのような事態を回避するために、BCPが必要です。
具体的には、平時より、非常時を想定した様々な対策を講じておくことで、緊急事態が発生した時に適切な判断と素早い行動をとることができます。
IT化に伴い発生する問題に対応するため
近年のIT化により、様々な業務がシステムやネットワークを介して行われています。そのため、システムや情報インフラに損害が及ぶと、事業継続が危ぶまれる深刻な事態へと発展しかねません。また、通信障害や不正アクセスなどのサイバーテロによる損害も考えられます。
企業がBCP対策を導入する理由としても、このような情報セキュリティ上のリスクは、自然災害や感染症に次いで多くあげられています。以上のようなネットワーク障害やサイバーテロによる損害などに備えて、BCPの策定を通じて日頃から対策を講じておく必要があるのです。
BCP(事業継続計画)策定のポイント
BCPは、主に、以下の5つの手順に沿って策定・運用します。
- BCP策定の基本方針を定める
- 自社の中核事業を選定する
- 中核事業が受ける被害を想定する
- 想定される被害に対する事前対策を検討する
- 緊急時における体制を整備する
また、BCPを策定する際のポイントとして、以下の3点が挙げられます。
BCPの策定範囲は中核事業に絞る
まずは、自社内の事業の中から、緊急事態の際に優先的に再開・復旧を目指すべき中核事業を明確にしていきます。BCPの策定範囲を中核事業に絞ることで、収益面の安定化や復旧における効率性の向上が期待できるためです。中核事業は、「事業が占める収益高・売上高の割合」や「事業の将来性」、「事業の復旧にかかる時間・コスト」、「事業が中断した場合の代替可能性」などの観点をもとに選定すると良いでしょう。
BCPの内容を具体的にする
緊急事態発生時に現場の混乱を防ぐためには、いつ・だれが・何を・どのような対応をしなければならないかを明確にしておく必要があります。そのため、緊急事態発生時に、適切な判断と素早い行動がとれるよう、BCPを策定する際は、時系列で予測される局面別での対応方法を具体的に明示する必要があります。また、内容を従業員が理解できるように事前に訓練をしておくことが重要でしょう。
自社の実態に合わせた計画にする
国や自治体が出している、「事業継続ガイドライン」などの参考資料をそのまま利用しても、自社に合った計画を策定しなければ、緊急事態が発生した時に役に立ちません。また、自社に合わない計画は社員のモチベーションを下げ、トラブルにつながる可能性があります。そのため、自社の実態に合わせた計画を策定するとともに、練習や実際の訓練を重ね、より有効な計画へとブラッシュアップさせることが重要です。
BCP(事業継続計画)策定は事業計画プロにお任せください
新経営サービスでは、豊富な実績・経験をもとにBCP(事業継続計画)の策定支援を行っています。
本支援では、事業計画策定のプロが、他社事例や成功事例をもとに、貴社担当者に代わって計画作成を代行し、経済産業大臣が認定する、「事業継続力強化計画」を作成いたします。
詳しくは、「BCP(事業継続計画)策定支援」のページをご確認ください。