業種別 新規事業の事例
「食品卸売業」の新規事業・事業再構築の方向性
2022年03月25日
業種別 新規事業・事業再構築事例の紹介として「食品卸売業」の新規事業・事業再構築の方向性についてお伝えします。
中小企業等が、新分野展開や業態転換などの事業再構築を通じて、コロナ前のビジネスモデルから転換する必要性は、依然として高い状況にあります。
令和3年度からスタートした「事業再構築補助金」についても、多くの食品卸売業の経営者が自社の事業再構築に向けて申請され、私どもも多数の申請支援および採択・交付決定を得て参りました。
食品卸売業の事業再構築・新規事業の方向性については、以下が考えられますので、これから「新規事業を検討しよう」「事業再構築補助金にチャレンジしよう」と思われる方は参考にしてください。
全国の食品卸売業の事業再構築の主なキーワードとしては、以下のものが挙げられます。
また新規事業度の高い順に並べてみました。
飲食卸売業の新規事業事例
- 店舗・ECによる小売業や飲食業への展開
新しい顧客に、新しい売り方の展開 - 自動販売機による無人販売
新しい顧客に、新しい売り方の展開 - 国内商品を海外の事業者に販売
新しい顧客に、新しい売り方の展開 - セントラルキッチン運営
新しい売り方で新しいサービスの展開 - 食品卸から食品加工卸へ展開
新しい顧客に、新しい商品の展開 - 食品卸から生産性を上げる厨房機器卸とコンサルティング事業へ
新しい売り方で新しいサービスの展開 - 廃棄品を加工し、ドライフード(BtoC)・飼料製造
新しい顧客に、新しい商品 - 免疫力強化等健康食品をOEMによる自社ブランド商品開発と、店舗・ECサイトによる小売業への展開
新しい顧客に、新しい売り方で、新しい商品の展開 - 自社農場や製造工場を立ち上げて自社ブランド開発・小売展開
新しい顧客に、新しい商品 - 食品加工卸から冷凍加工食品卸への展開
新しい顧客に、新しい商品の展開
新規事業の方向性検討
新規事業を考えるにあたっての大きな方向性としては、以下のフレームワーク(思考方法)が有効です。
アンゾフの成長マトリクス
アンゾフの成長マトリックス(製品と市場の二軸、新規と既存の二軸を元に表を作り各々を「市場浸透」「製品開発」「市場開拓」「多角化」に分類するマトリックス)で、新規事業とは何かを考えてみたいと思います。
市場浸透 | 既存商品・サービスを既存の顧客・市場により浸透させる領域であり、新規事業とはいえない。 |
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多角化 | 新規商品・サービスをつくり、これまでと異なった顧客・市場に投入するものであり、大きな新規事業といえる。異なった業種をスタートすることもこの領域。 |
新市場開拓 | 既存商品・サービスであっても、BtoC→BtoB(個人用→業務用)や、海外進出等、新しい市場でビジネス展開することは新規事業といえる。 |
新商品開発 | 既存市場内での新商品開発は、これまでの顧客・市場と変わるわけではないため、単なる商品ラインナップの追加という領域といえる。新規事業かどうかというと、ケースバイケースで捉えるべきグレーゾーン。 |
アンゾフの成長マトリクス
私の考えとしては、新商品開発でも
従来ビジネスモデルを変えずに、既存事業の経営資源だけを活用した新商品・新サービスは、新規事業とは言いにくいと考えます(既存の収益の仕組みをそのまま使って、新しい商品を開発・展開することは、単に商品ラインナップが増えるだけ)。
例えば、飲食店向け食品卸事業者が、売り先を変えずに、品質や産地、価格帯が異なる商品を仕入・販売したりするといった類のものは、ほぼ既存事業のビジネスモデル並びに経営資源活用になる場合が多く、新商品ではあるが、既存事業の範疇です。
そこで、新規事業と考えられる新商品開発の定義は、
- 従来と異なるアライアンスパートナーとの事業展開
- 新しいカテゴリーの商品・サービスの開発による新しい顧客ターゲットの開拓
- 流通経路の大幅な変更を伴う新商品開発
を指すと考えて良いのではないでしょうか
平たく言うと「新しい顧客に」「新しい商品・サービスを」「新しいやり方で」取り組みを行う場合に新規事業であるといえましょう。
先の食品卸売業の事業再構築・新規事業のキーワードを上記フレームワークに当てはめると、以下のようなイメージです。
どの業種においても、事業再構築・新規事業を検討する際には、以上のような考え方を当てはめて考えることで新規事業の方向性が見出せることでしょう。