中小企業の経営ノウハウ
新規事業の開発、成功事例はこうやって進めていた
2022年04月21日
経営者様にとって新規事業の開発と立ち上げは重大課題になっているはずです。
新規事業は企業に成長をもたらしますし、新規事業を立ち上げておかないと、本業に陰りがみえたときに経営が不安定になります。
しかし新規事業は必ず成功するわけではないのでリスクが大きく、そこに経営資源を傾けるべきかどうかは難しい判断となるでしょう。
このジレンマを解消するには、成功する確率が高い方法を実施することです。
新規事業を成功に導く方法を、具体例を示しながら解説していきます。
もくじ
新規事業の立ち上げは「決断」「スピード」「あきらめない」「人」が重要
新規事業の開発に取り組むには、基本事項を押さえて、具体的な行動に移す、という2段構えがよいでしょう。
まずは基本事項を紹介します。
- 決断
- スピード
- あきらめない
- 人づくり
この4つの要素は、新規事業を成功に導く最低条件といえます。
新規事業は経営者が「やる」と決断しないと一歩も進みません。なぜなら新規事業を立ち上げるリスクを負うことができるのは経営者だけだからです。
もし経営者が決断を先延ばしにしたらその分だけ新規事業の立ち上げが遅れ、「やはりやらない」と決めたら、新規事業の計画は頓挫します。
そして「新規」というくらいなので、新規事業には鮮度が求められます。もし同業他社が似た事業を始めてしまったら、自分たちはその後塵を拝すことになり、新規事業を立ち上げても大きな果実は得られないでしょう。
しかし新規事業は、なかなか1回の挑戦で成功するものではありません。2回3回と挑んでも失敗が続くかもしれません。それで中断したら新規事業は成功しません。
どの会社でも気軽に始められる事業は、企業の成長を支える力を持つ新規事業になりません。なかなか成功しない難しい事業だからこそ、挑戦する意義がある新規事業になるわけです。
つまり、あきらめないことも成功の最低条件になります。
さらに、新規事業を実際に開発したり実行したりするのは従業員たちなので、この難事業に立ち向かうことができる人材を育成しなければなりません。
「やる」と決めたらブレずに決断し、決断したらスピーディーに進め、失敗してもあきらめずに何度も挑戦し、挑戦し続ける経営者についてくることができる人を育てなければ、新規事業は成功しないでしょう。
このように新規事業開発を進めていくと成功しやすい
成功確率を高める新規事業開発法として、次の3つを紹介します。
- リーン・スタートアップの活用
- オープンイノベーションの活用
- 新規事業開発フローの活用
1つずつみていきましょう。
リーン・スタートアップの活用
リーンとは「やせた」という意味です。つまりリーン・スタートアップとは、低コスト、短期間で新規事業を立ち上げてしまう手法です。
聞き慣れない名称だと思いますが、これは新規事業立ち上げの大原則である「小さく生んで大きく育てる」に通じる考え方です。
「ヒットしそうだ」と感じたら、お金をかけず、かつ短期間に試作品を作成し、すぐに市場に出してしまいます。
この方法を最近は、実証実験やβ版と呼ぶこともあります。β版とは、完成品と試作品の中間に位置する完成度の製品のことです。
70~80%の完成度で販売することになるので、消費者には実証実験であることやβ版であることを知らせます。
リーン・スタートアップのメリットには、
1)客の反応がすぐにわかる
2)トレンドを素早くつかむことができる
3)コスト安なので何度も試すことができる
4)失敗時のダメージが小さい
があります。
オープンイノベーションの活用
オープンイノベーションとは、外部の資源を使って開発する手法です。「外部」には公的試験機関や公的研究機関の他に、他の企業もあります。
公的試験機関や公的研究機関は、最近は市場で評価されることが求められるので、有力なシーズを持っている企業の新規事業開発を手伝うことに積極的です。
そしてコラボレーションや協業という言葉が流行っているように、他社の資源を利用して新規事業を立ち上げることも珍しくなくなりました。
オープンイノベーション方式で新規事業を開発すれば投資額を抑えることができ、自社で開発する領域が減るので時間を節約することができます。
例えば、高い製造技術を持っているのに製品化や販売が苦手な企業であれば、デザイナー会社やEC企業とコラボすることで、デザイン資源と販売資源を手に入れることができます。
新規事業開発フローの活用
最もオーソドックスで最も確実な新規事業開発法は、定型の業務フローを使うことです。
新規事業開発フローは次のようになっています。
マーケティング、市場調査、消費者アンケート ↓ 企画、アイデア出し ↓ プロジェクトの立ち上げ ↓ 事業性の評価(初回) ↓ 予算とスタッフの確保 ↓ 開発、試作品の作成、実証実験、β版の販売 ↓ 事業性の評価(2回目) ↓ 本格投入(新規事業の完成) |
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この業務フローは地味に感じるかもしれませんが、手堅い方法といえ、失敗しづらいので成功確率が高まります。
上記のフローで重要なのは、「事業性の評価」と「予算とスタッフの確保」です。
経営者は、事業性が高いと評価できたら「やる」と決断します。そして経営者の決断とは、お金と人を手当てすることに他なりません。
経営者は新規事業プロジェクトのメンバーたちに「失敗してもいいから挑戦して欲しい」と言って背中を押します。
新規事業の成功事例
新規事業の成功事例として、本田技研工業株式会社(以下、ホンダ)の飛行機づくりを紹介します。
自動車のホンダのビジネスジェット機「ホンダジェット」は2021年に37機を販売し、小型ジェット機部門で5年連続で世界1に輝きました(*1)。
エンジン製造が得意なホンダが飛行機をつくっても不思議はない、と感じたらそれは正しい認識とはいえません。
飛行機をつくった経験を持つ自動車メーカーはいくつかありますが、現在でも飛行機本体をつくっていて、しかも大成功を収めている自動車メーカーは世界でもホンダしかありません。
ホンダは1986年に、若手社員5人を招集し極秘に飛行機を開発するよう命じました(*2)。若手社員はアメリカに行き、ロッキード社(現、ロッキード・マーティン社)の技術者に弟子入りする形でノウハウを学んでいきました。
実験機が初めて空を飛んだのが1993年。そして1機目を販売できたのは、1986年から29年後の2015年でした。
ホンダは人づくりから始めて、約30年間あきらめずに挑戦し続けて事業化にこぎつけ、そして成功を手に入れたのです。
*1:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC241Q20U2A220C2000000/
*2:https://www.honda.co.jp/topics/2020/04-hondajet/
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