PDCA
PDCAがまわらない理由 第8回 ~誰をバスに乗せるか~
2021年07月14日
アメリカのコンサルタントであるジム・コリンズが書いた世界的名著、『ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則』という書籍があります。
これは、当時(1990年代)の成長企業について研究し、共通する成功ポイントについて書かれている本です。
本書に、私がPDCAにおいてとても大切だと思うキーワードが書かれています。
それは、「だれをバスに乗せるか」です。
当初ジム・コリンズらは、成長企業では、より事業を飛躍させるために、まず新しいビジョン、戦略を策定し、そしてそのビジョンに基づいて人を集めるのだと予想していました。
しかし、実際には、はじめに会社の目的地を決めて、次に目的地までの旅をする人々をバスに乗せる方法をとったわけではなく、最初に、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスからおろし、その後にどこに向かうべきかを決めていたことが判明しました。
まとめると下記2点になります。
①何をすべきか、ではなく、誰を選ぶか からはじめる。ビジョンも、戦略も、戦術も、組織構造も、誰を選ぶか 決めた後に考える。
⇒バスに乗った理由が、「目的地が気に入ったから」であれば、環境の変化などによって、目的地が変わった場合、問題が発生します。しかし、バスに乗った理由が、「同乗者が気に入ったから」であれば、たとえ目的地が変わったとしても柔軟に対応することができます。
②適切な人を選べばモチベーション管理や業務管理が不要である
⇒適切な人材であれば、厳しく管理する必要は無く、やる気を引き出す必要もないからです。
とはいえ実際に、「“誰を選ぶか”から決める」のは実運用上現実的ではありません。
しかしながら、「誰をバスに乗せるか」という考え方はPDCAを回すうえでも有用です。
例えばプロジェクトのメンバーを組成する際に、「A部署から木村さん、B部署から稲垣さん・・を呼んでおけば社内のバランスもとれるし、PDCAも回るだろう」と深く考えずに決めてしまうことがあります。
しかし第1回(https://chusho-keiei.jp/pdca/516/)でもお伝えしましたが、当事者意識の有無やPJを通して解決する課題へのモチベーション、7段階のコミットメントなどを熟考してからメンバーを選ぶべきです。
現在進行中のプロジェクトのPDCAがうまく回っていない場合、一度メンバーを見直しバスから降ろしてみることも一案です。もしかすると適切ではない人材がバスに乗っているのかもしれません。