中小企業の経営ノウハウ
中小企業は「一極集中型の事業経営」から脱却すべき
2021年07月20日
もくじ
「新規事業の創出」が今の経営課題のトレンド
新型コロナウイルスが出現してから早1年半以上が経過しました。
その間、多くの中堅・中小企業の経営者から「本業の売上が蒸発してしまい、今後の経営や事業の展望が描けない」という声を聞いてきました。
このような環境下において、企業の経営課題のトレンドは「新規事業の創出」といえます。
コロナウイルスが出現する前から、もともと「今の主要事業だけでは生き残っていけない」という漠然とした不安がありました。
その不安感や課題感が、コロナを機に火が付き、経営者の心の変化が加速しました。
コロナ禍における新規事業の動きとして、分かりやすい例が「飲食業」でした。
新型コロナウイルス拡大という未曽有のパンデミックが、我々の生活を一変させ、「食べる」領域では、「Uber Eats」のリュックを背負った配達人が自転車で駆け回る様子が社会現象にもなりました。さらに、新たにテークアウトの専門店が続々と出来ました。
他にも、電通は新規事業創出をねらう考えで、社員230人を個人事業主(業務委託契約)として働いてもらう制度をはじめるとのニュースもありました。
2021年の年頭所感でも、各企業のトップは「新しいビジネスや生産性向上などで成長を目指す」と訴える内容が目立っています。
不況下こそ新規事業にとってはチャンス
不況下では、人々の行動パターンの変化や企業のコストカットなどに伴い、新たな課題やニーズが生まれやすい傾向にあります。つまり新規事業にとってはチャンスなわけです。
事実、リーマンショックのあとも、今は当たり前となった数々の新たなビジネスが生まれました。
例えば、印刷の「ラクスル」。
リーマンショックの影響で、多くの企業が販売管理費の中でも削減率の大きい印刷費を削減しました。それにより未稼働の印刷会社が多く発生したことに目をつけたのが印刷、広告のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」を運営する同社です。稼働していない印刷機をシェアすることで印刷業界の効率化を図る事業を展開しました。
「選択と集中」から「収益源の分散化」へ
今回のコロナウイルスで、とくに飲食業を中心に壊滅的な影響を受けることになりました(とくに影響が大きかったのは「宴会主体の業態、店」「領収書利用がメインの店」でした)。
しかし、その中でも無事だった飲食企業があるのも事実です。それは、居酒屋部門はダメだったけど、こっちのビジネスは良かったというように、会社全体としてバランスできたという会社でした。つまり 「会社トータルで何とかなった(他の業態・事業が大丈夫だった)」という考え方が大事となるのです。
今、大事なことは、これまで中小企業のセオリーとも言われ叫ばれてきた「選択と集中」よりも、むしろ「収益源の分散化」といえます。
不謹慎ではありますが、経営者としては、必ずまた大きな●●ショックといえる経済危機が10年内に来ると思っておいた方が良く、それを見据えると「一極集中型の事業」だけはリスクが高いと考えます。
とくに中小企業は、今後5~10年でしっかりした収益の柱を数本立ち上げていくといったことが大事です。