経営革新計画
経営革新計画の申請対象者と要件 ~「うちは対象になるのか」を確認~
2026年05月26日

「経営革新計画は大企業向けではないか」「うちのような小さな会社が対象になるのか」——こうした思い込みから、申請を検討する前に諦めてしまう経営者は少なくありません。
実際には、経営革新計画は中小企業・小規模事業者を主な対象とした制度であり、業種による制約もありません。
本コラムでは、申請対象者の要件と新事業活動・数値の要件を整理し、申請の可否を判断できるよう解説します。
本コラムのポイント
- 経営革新計画は全業種の中小企業者が対象であり、業種による制約はない
- 申請対象かどうかは資本金ではなく常時使用する従業員数で判断する
- 自社にとって新たな取り組みであれば、他社が採用済みの技術・方式でも原則として承認対象となる
- 数値要件は付加価値額と給与支給総額の2指標で判断され、事業期間に応じた伸び率の基準が定められている
もくじ
申請できる事業者の種類
経営革新計画の申請対象者は、中小企業等経営強化法上「特定事業者」と呼ばれます。具体的には次の3つに分類されます。
- 会社(株式会社・合同会社・合名会社・合資会社等)および個人事業主
- 一定の要件を満たす組合・連合会(事業協同組合・商工組合・商店街振興組合等)
- 会社・個人事業主や組合が共同で申請する任意グループ
業種による制約はなく、製造業・建設業・卸売業・小売業・サービス業・IT業など全業種が対象です。
中小企業者の要件
経営革新計画の申請対象となるかどうかは、常時使用する従業員数で判断します。資本金の大小にかかわらず、以下の基準を満たせば申請対象となります。
① 会社および個人事業主の基準
| 業種 | 従業員数基準 |
|---|---|
| 製造業等 | 500人以下 |
| 卸売業 | 400人以下 |
| サービス業 | 300人以下 |
| 小売業 | 300人以下 |
(注)
1.常時使用する従業員には、事業主、法人の役員、臨時の従業員を含みません。
2.サービス業のうち、ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業の従業員基準は500人以下となります。
② 組合および連合会の基準
| 組合・連合会の種類 | 要件 |
|---|---|
| 事業協同組合・商工組合・商店街振興組合など (一般的な中小企業の組合) |
特になし |
| 生活衛生同業組合・酒造組合・技術研究組合など(特定業種の組合) | 直接または間接の構成員の2/3以上が特定中小企業者であること |
(注)
1.企業組合、協業組合は特定事業者に該当しますので、経営革新計画の対象となります。
2.一般社団法人のうち、その直接又は間接の構成員の2/3以上が中小企業等経営強化法第2条第五項第1号から第7号までの特定事業者であるものについては、経営革新計画の対象となります。
新事業活動の要件
経営革新計画は、申請者の規模・業種の要件を満たしているだけでは承認されません。
「新事業活動」に取り組む計画であることが必要です。
新事業活動とは、次の5つの類型のいずれかに該当する取り組みを指します。
- 新商品の開発又は生産
- 新役務の開発又は提供
- 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
- 役務の新たな提供の方式の導入
- 技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動
重要なのは、既に他社が採用している技術や方式であっても、自社にとって新たな取り組みであれば原則として承認の対象となるという点です。
世界初・業界初である必要はなく、自社にとって初めての取り組みであれば認められます。
数値要件
経営革新計画では、以下の2つの要件を満たす必要があります。
① 付加価値額または一人当たりの付加価値額
付加価値額とは、営業利益・人件費・減価償却費の合計額です。
企業が生み出した価値の総量を示す指標であり、売上高だけでは見えない経営の実態を反映します。
付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
一人当たりの付加価値額は、この付加価値額を従業員数で割った値です。
人員が増える計画の場合は一人当たりの指標が下がりやすいため、どちらの指標を使うかは自社の計画に合わせて選択できます。
② 給与支給総額
給与支給総額とは、役員報酬・給料・賃金・賞与・各種手当の合計です。
経営の向上が従業員への還元につながっているかを確認するための指標です。
給与支給総額 = 役員報酬 + 給料 + 賃金 + 賞与 + 各種手当
この2指標について、事業期間終了時点での目標伸び率の基準は以下の通りです。
| 事業期間 | 付加価値額または一人当たりの付加価値額の伸び率 | 給与支給総額の伸び率 |
|---|---|---|
| 3年 | 9%以上 | 4.5%以上 |
| 4年 | 12%以上 | 6.0%以上 |
| 5年 | 15%以上 | 7.5%以上 |
まとめ
「うちは対象にならない」という思い込みが、経営革新計画の活用機会を逃す最大の原因です。
業種を問わず、多くの中小企業が申請対象となります。
- 申請対象は全業種の中小企業者であり、業種による制約はない
- 常時使用する従業員数が基準を満たせば対象となる(資本金の大小は問わない)
- 自社にとって新たな取り組みであれば、他社が採用済みの技術・方式でも原則として承認対象となる
- 付加価値額と給与支給総額の伸び率が数値要件の基準となる
新経営サービスでは、経営革新計画の策定支援を行っています。
「自社が申請対象になるかわからない」「どんな取り組みが新事業活動として認められるかわからない」という段階からご相談いただけます。
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