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HOME > 経営革新計画の策定ポイント ~SWOT分析×競合分析の使い方~
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経営革新計画

経営革新計画の策定ポイント ~SWOT分析×競合分析の使い方~

2026年05月20日

経営革新計画の承認が得られない原因の1つに、自社の客観的な強みが明確化されていないことが挙げられます。それは、強みの分析によく用いられるSWOT分析だけでは主観に過ぎず、審査員にとっては説得力が弱いためです。

本コラムでは、経営革新計画における説得力を向上させるための自社の強みの策定方法について、弊社支援事例を交えながら解説します。

本コラムのポイント

  • SWOT分析だけで書いた強みは「自社の主観」に過ぎず、審査員にとっては説得力が弱い
  • 強みは競合他社と比較しながら、相対的な優位性を示すことが重要である
  • SWOT×競合分析の2ステップで「市場の中での自社の勝ち筋」が言語化でき、新規性の根拠に直結する

もくじ

  • 「強みが弱い計画書」に共通するパターン
  • SWOT分析だけでは強みが「主観」になる
  • 競合他社分析で「相対的な強み」を可視化する
  • SWOT×競合分析の2ステップで計画書を作る
  • まとめ

「強みが弱い計画書」に共通するパターン

計画書の強みが弱くなる背景には、いくつかの共通したパターンがあります。
よく見られるのは以下のような書き方です。

  • 「開発に強い」「営業が得意」という抽象的な記述で終わっている
  • 強みの根拠が「社員の経験年数」「顧客満足度が高い」など、内部視点の説明だけになっている
  • 強みと新規事業のつながりが説明されておらず、「なぜこの事業に取り組むのか」が伝わらない

これらに共通しているのは、競合他社との比較がないことです。自社の内側だけを見て書かれた強みは、審査員にとっては「具体的にどう強いのかわからない」という印象になります。
計画書を読む審査員は、「この会社が市場でどう勝てるのか」という視点で見ています。
その問いに答えられない計画書は、どれだけ丁寧に書いても弱いままです。

SWOT分析だけでは強みが「主観」になる

SWOT分析は、自社の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)を整理するフレームワークです。
経営状況を俯瞰するための優れたツールであり、計画書作成においても欠かせないプロセスです。

経営革新計画の計画書作成でも、まず以下のようなSWOT分析表を使って自社を整理することから始めます。
下表は、国内向けヘアケア商品の自社ブランド開発に取り組んだ支援先の事例をベースにしています。

強み(Strengths) 内部要因・プラス 弱み(Weaknesses) 内部要因・マイナス
・国内ドラッグストア・美容室への販路
・OEM製造先との長期取引実績
・成分・処方の知識・ノウハウ
・小ロット・短納期の製品開発体制
・自社ブランドの認知度がゼロ
・マーケティング・広告予算の不足
・大手と比べた製造コストの高さ
・資金力の限界
機会(Opportunities) 外部要因・プラス 脅威(Threats)   外部要因・マイナス
・成分・原料へのこだわり需要の高まり
・サロン専売品への関心の高まり
・SNS・D2Cチャネルの拡大
・ナチュラル・無添加成分への注目
・大手ブランド・ドラッグストアPBの価格競争
・大手による類似商品の展開リスク
・原材料費の高騰
・法規制対応コスト

しかし、このSWOT分析だけで計画書の「強み」を書くと、次のような問いには答えられません。

  • 「国内の美容室・ドラッグストアへの販路がある」→ 競合も同じ販路を持っているのでは?
  • 「成分・処方の知識がある」→ それが商品の差別化にどうつながるのか
  • 「成分・処方にこだわっている」→ 競合の同業者も同じことをアピールしているのでは?

SWOT分析は「自社の棚卸し」には有効ですが、「なぜ市場で勝てるのか」という問いには答えられません。その答えを作るのが、競合他社分析です。

競合他社分析で「相対的な強み」を可視化する

競合他社分析とは、自社と同じ市場・顧客層で競合する企業を調べ、自社との違いを明らかにする作業です。
先述のヘアケア事業者では、大手ブランド・同規模事業者と自社を比較するため、以下の比較表を作成しました。
なお、比較表を作成する際は、下表の通り◎・〇・△・×の記号を使い視覚的に分かりやすく表記することで、文章だけの説明より説得力が増します。

比較項目 自社ブランド(自社) A商品(大手A社) B商品(同規模B社)
価格帯 〇
中〜高価格帯
◎
低〜中価格帯
〇
中〜高価格帯
原産国 ◎
日本産
△
外国産
△
外国産
成分 ◎
無添加・天然成分への特化
△
特徴なし
◎
無添加・天然成分への特化
ターゲット ◎
美容意識の高い
30〜40代女性
△
大衆向け
◎
美容意識の高い
30〜40代女性
販売チャネル ◎
美容室・ドラッグストア
自社ECサイト
〇
自店舗・大手量販
ECサイト・コンビニ
△
ECサイト
ブランド認知度 ×
ゼロ
◎
ブランド認知度は高い
△
一定

この表から見えてくるのは、ブランド認知度こそゼロであるものの、「無添加・天然成分への特化」「美容意識の高い30〜40代女性向け」「自社ECサイト・美容室・ドラッグストア販路の活用」という3点から競合と差別化を図ることができるということです。

これがこの事業者の「相対的な強み」であり、新規性の根拠になります。このように、競合他社分析を併せて実施することで、SWOT分析だけでは抽出できない「勝てる領域」を可視化することができます。

SWOT×競合分析の2ステップで計画書を作る

SWOT分析と競合他社分析を2ステップで組み合わせることで、計画書の強みの記述が根本から変わります。

ステップ1:SWOT分析で自社を整理する

まずSWOT分析で自社の強み・弱み・機会・脅威を洗い出します。この段階では「自社の視点」で構いません。思いつく限り書き出してください。

ステップ2:競合分析で強みを「検証」する

次に、ステップ1で挙げた強みを競合他社と比較します。
「この強みは競合と比べて本当に優位か」「競合が対応できていない領域はどこか」という問いを立てながら、◎〇△×の比較表を作成してください。

ここで残った強み(競合に対して相対的に優位な点)が、計画書に書くべき「本当の強み」です。そして「競合が弱く、自社が強い領域」が、新事業活動の最有力候補になります。

この2ステップを経ると、強みは以下のように変わります。

SWOT分析のみ(修正前) SWOT×競合分析(修正後)
強み 国内の美容室・ドラッグストアへの販路と成分知識があり、品質の高い自社商品を開発できる 既存の美容室・ドラッグストア販路を持ちながら、大手・PBブランドが手薄な無添加・天然成分特化×美容意識の高い30〜40代女性向けというポジションを取れる
審査での 評価 新事業活動の「新規性」は認められるが、「実現可能性」の根拠が弱い 市場での勝ち筋が比較で示されており、計画の実現可能性に説得力がある

「国内の美容室・ドラッグストアへの販路と成分知識がある」という記述は事実ですが、競合比較を経ると「大手・PBブランドが手薄な無添加×美容意識の高い女性向けポジションを既存販路で取れる事業者」という記述に変わります。

この2ステップで明らかになった強みと新事業の根拠は、経営革新計画の「新規性」と「実現可能性」の説明に直接使えます。審査員が計画書に求めているのは、まさにこの「市場における勝ち筋の根拠」です。

SWOT×競合分析は手軽でありながら実践的な分析ができる手法として、支援の現場でよく活用しています。
なお強みを分析する手法はSWOT×競合分析だけではありません。
以下のような手法もあり、自社の状況や目的に応じて組み合わせると、計画書の説得力がさらに高まります。

手法 概要 経営革新計画での活用ポイント
SWOT分析 強み・弱み・機会・脅威の4象限で自社を整理 経営の現状把握・計画書の土台づくり。
最初に行うべき基本フレーム
競合他社分析 競合と自社を比較し、相対的な優劣を可視化 自社の強みに客観的な根拠を持たせる。
SWOT分析と組み合わせることで効果が最大化する
3C分析 顧客(Customer)
競合(Competitor)
自社(Company)
の3軸で市場を整理
顧客視点も加えることで、誰に・何を・どう提供するかの全体設計ができる。
SWOT×競合分析の発展形
VRIO分析 価値・希少性・模倣困難性・組織の4軸で強みの持続性を評価 「この強みは長期的に維持できるか」を検証する。
競合に真似されにくい強みを見つけるのに有効
ポジショニングマップ 2つの軸を設定し、市場における自社と競合の位置を可視化 「どの市場ポジションに空白があるか」を視覚的に把握する。
新事業の方向性を定める際に有効

まとめ

計画書の強みが弱くなる原因は、書き方の問題ではありません。競合他社との比較がないまま、自社の内側だけを見て書いていることが根本的な原因です。

  • SWOT分析だけで書いた強みは「自社の主観」に過ぎず、審査員への説得力が弱い
  • 競合他社と比較することで、自社の強みが「市場での相対的な優位性」として初めて意味を持つ
  • ◎〇△×の比較表で視覚化することで、審査員が一目で優劣を把握でき計画書の説得力が大きく上がる
  • 2ステップ分析で特定した「競合が弱く自社が強い領域」が、新事業活動の根拠として直結する

計画書を見直すなら、まず競合他社を調べることから始めてください。
「うちの強みがはっきりと分からない」と思っている経営者ほど、比較してみると自社の強みがはっきり見えてくることが多いです。

 

【無料】計画書の見直し・申請に関するご相談
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この記事の筆者・監修

コンサルタント
本田 優平
幼少期に父親が事業失敗したことを契機に、中小企業の支援に強い使命感を抱き、銀行にて中小企業向け融資業務に従事。資金繰りや相続対策など多様な経営課題に対し、総合的な支援を実施。 現在は、強みである財務コンサルティングのみならず、人事、教育も含めた総合的な経営支援を通じ、企業とそこで働く社員の豊かさの実現を目指し日々活動している。
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