中小企業の経営ノウハウ
中小企業は「シロイワヤギ」になる
2021年10月20日
もくじ
「シロイワヤギ」とは
北アメリカのロッキー山脈、標高2500~3000の断崖絶壁の中腹に「シロイワヤギ」が生息しています。
真冬はマイナス30℃の酷寒の地で、他の動物にとっては最悪の生存環境です。
しかし、シロイワヤギにとっては楽天地なのです。
その理由は、彼らより大きな哺乳類は生息しておらず、天敵のコヨーテはいないこと。また、食べるに困らないだけの高山植物があるからです。
中小企業は「シロイワヤギ」のように、小さな市場であっても、ほかが参入しにくい独自のポジションを築く必要があります(ニッチャー)。そこでのビジネス(ニッチビジネス)は、ライバル企業が少ないゆえに「価格競争に巻き込まれづらい」わけです。
現在の自社の市場を含め、ほとんどの市場には、大企業には魅力がなく、同規模他社には面倒くさくて対応したくないニッチ市場が必ずあります。
その気になって、丁寧に探せば、シロイワヤギの生息地と同じように、自社だけしか存在できない市場(ニッチ市場)が見つかるはずです。
つまり、ニッチ市場は、多くの企業が面倒に感じたり、コスパが悪いといった理由で参入を回避してきた市場であったりするなど、「既に市場」として現存しているのです。
必ずしも人類の未開拓の市場である必要はないのです。
勝てるニッチ市場を見つけるかどうかは、経営者の「目利き」力
現在の事業の市場を、消費者のニーズ・特性に応じて、細分化すると複数のニッチな市場候補があぶり出されます。
この複数のニッチ市場候補から、「勝てるニッチ市場」を見つけられるかどうかが、経営者の「目利き」となります。
ニッチビジネスは“隙間”であり、一方で王道を行く商品があるはずです。ニッチビジネスを思いついたならば、王道を行く商品とのはっきりとした差別化や、消費者に需要があるのかを厳しく見極めなくてはいけません。
皆が欲しがる商品は絶対につくらない
実際、ニッチビジネスで高い収益をあげるベンチャーや中小企業は多数ありますが、一つ例えとして、家電メーカーの「ツインバード」をご紹介します。
「ツインバード」は、元はメッキ加工業からスタートし、その後、アイロンやトースターを安価で売るメーカーから一転、“こんなのがあったら嬉しい” “ありそうでなかった” といったニッチ家電メーカーにシフトしました。
全社員(300名)の20%相当(70名程度)が企画・開発スタッフであり、日本の家電メーカーの中でも突出した比率です。だからこそ、お客様の「あったらいいな」を つくり上げる力があるのでしょう。
例えば、
冷凍食品のクオリティも進化し、冷凍食品への需要が高まっている点や、どこの家庭でも冷蔵庫の冷凍室がパンパンの状況に着目し開発された「2ドア冷凍冷蔵庫 ハーフ&ハーフ」
ツインバードの野水社長の商品開発コンセプトは「“みんなが欲しがる商品”は絶対つくってはいけない」というもの。「皆が欲しいもの」は既に作られて市場に出回っているという考え方であり、「1割の方が“これ超欲しい!”となる商品がいい」と、正にニッチ路線を狙っています。