PDCA
PDCAがまわらない理由 第2回~企業は成長すればするほど、PDCAがまわらなくなる?!~
2019年08月27日
長年お付き合いしているB社の社長からこんなことを聞きました。
「昔は、皆がすぐに色んな新しい物事に取り組んだのに、最近はあれやこれやと理由をつけて、なかなか取り組まないようになった。毎月の会議でも、1回会議しただけで実際の取り組みは全く無いという報告もよく受ける。昔と比べて全くPDCAが回っていない」
B社は、ここ数年、毎年5~10名程度の社員の増員を行いながら、着実に成長し続けている企業です。もちろん、業績も増収増益です。
しかし、私のような第三者の立場から見ると、B社においては組織のPDCAレベル、特に「D 実行」の“量”は確実に減っていると感じます。
企業は拡大をすればするほど、本業が忙しくなると同時に、本業以外の業務、例えば会議や打ち合わせ、細かな社内調整などが増えていく傾向にあります。
例えば創業当社は、資金も人材も少ないため、良い打ち手を効率よく、最短の手順で踏んでいきながら、PDCAをまわしていきます。
しかし、毎年の業績も安定するようになり、人材もある程度の人数になってくると、新たな取り組みを行うよりも、既存の事業を運営するだけで精いっぱいになり、次第にPDCAが回らないようになります。
ただ、事業基盤はできているため、PDCAが回らないからといって、企業に深刻なダメージを与えるかというとそうではありません。
けれども、そのことが危機感を生まず、一層PDCAが回らなくなる理由の1つです。
とはいえ、毎年新たな取り組みが行われず、現状維持(それでも現場は手いっぱいなのですが)だと、経営層は不安を感じ、他社の取り組みや書籍で得た知識を基に、思いつきの施策を現場に指示するケースもあります。
それを受けた現場は、「また何か新しい取り組みを外から仕入れてきた…」とゲンナリする場面が見受けられます。
かつてのPDCAをどう取り戻すか。
PDCAが回らないことの原因が、「現状維持で問題無い」ことであれば、「現状維持では、問題だ」ということを伝えていくしかありません。
例えば、日本を代表するトヨタでは、CASE時代に備えて(CASEとは、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリング)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語。)、自社をモビリティカンパニーに変えようと必死で取り組んでいます。あのトヨタでさえ、です。
拡大時期にある企業であれば、創業当初と比べると人材の質も量も格段に上がっていることでしょう。PDCAをまわすことができる人材は揃っているはずです。スキル的に、まわすことができないということはありません。
全ての企業が、今後をどう生き抜くか検討を重ねている時代です。しかし、実際に次の一手を打てている企業はそう多くないように感じます。
何が正解なのか分からない時代ですが、全ての取り組みにおいてPDCAは重要です。
今一度、自社のPDCAについて考えてみてはいかがでしょうか。