マーケティング
【販促担当者向け】御社の情報、本当にターゲットに届いてますか?
~生活者のメディア接触の実態②~
2019年10月08日
前回は、「スマホからのネット利用時間の急増」と「若年層のスマホ偏重傾向」を中心にお話ししました。
今回は、若年層と対極を成す、シニア層のメディア接触状況から入っていきたいと思います。
子育てや仕事から解放され、時間に余裕が生まれる60代は、TVやラジオ、新聞、雑誌といったオールドメディアに接触する時間が長くなる傾向にあり、他の年代の接触時間を上回る傾向にあります。
特に女性60代のTV視聴時間は群を抜いて長く、全体平均の約144分より90分も上回ります。
しかし、一方でこの年代層はインターネットの利用が最も少ない層でもあります。
以前に比べて、シニアのインターネット利用は大きく伸びたとはいえ、まだまだ過渡期と言える段階でしょう。
よって、この層の潜在顧客に接触したいと考える企業は、インターネットによるアプローチより、TVやラジオ、新聞といった、オールドメディアを軸に据えたプランを検討することが求められます。
※ちなみに、シニア層にはエリアターゲティングやコスト面で優れた新聞折込チラシによるアプローチも効果的です。(新聞折込チラシについては、また機会を設けて詳しくお伝えできればと思います)
逆に、若年層を取り込みたいと考える企業には、マスメディアよりもインターネットを重視したコミュニ―ションの方が、効果的と考えられます。
ターゲットに応じてメディアを選定し、そのメディアに最適なコンテンツを設定しないと、全く成果が出ないということが起こります。ターゲットとメディア、コンテンツのミスマッチを起こさないよう、メディアの活用を検討されている方は、ぜひこの点に気を付けてください。
この考えは、オウンドメディア(自社メディア)である企業サイトにおいても、似たようなことが言えます。
サイトの「閲覧者は誰か?」「デバイスは何か?」「どんな情報を求めているか?」を押さえないと、当初狙った目的を果たせないどころか、閲覧者の不満がつのり、自社に対するネガティブイメージを与えかねません。
例えば、若年層をターゲットとする小売業の場合、サイト閲覧者の大半はスマホ経由のアクセスでしょう。
サイトをスマホから見てもらうためには、スマホに対応したサイトが必要になります。
つまり、PCの大きな画面で見ることを前提に作られた“PCサイト”とは別に、スマホの小さな画面でも見やすいように設計された“スマホサイト”を “新たに” 用意しなければなりません。
もしくは、レスポンシブデザイン*という手法を用いて、PC・スマホ・タブレットの画面サイズに応じて(レスポンシブに)、表示が切り替わるサイトを制作します。
しかし、企業がスマホサイトを用意していない場合や、レスポンシブデザインでサイトを制作していない場合、どのような事態が考えられるでしょうか?
スマホから“PCサイト”にアクセスすると、PC画面に表示される見た目そのまま、スマホの画面幅にギュッと縮小されて表示されます。経験がある方も多いと思いますが、大抵の場合、文字や画像が判読できない程小さくなってしまうため、読みたい箇所をいちいち拡大・縮小しないといけません。閲覧するだけで、大変なストレスを感じる方がほとんどかと思います。
予算不足、販促担当者の怠慢、知識不足、制作会社の提案力不足等、原因は色々考えられますが、このような、お客様の存在を置き去りにしてしまった残念な事例は、中小企業の企業サイトに多く見受けられます。
良い企業イメージも悪い企業イメージも、こういった企業の姿勢や取り組みに対する“評価の積み重ね”で生まれます。“お客様視点”を欠いた企業活動は、企業イメージにとってマイナスでしかありません。
「いい加減な会社」「顧客への配慮に欠ける企業」という評価をくだされ、お客様や取引先が離れてしまわないよう、心当たりのある販促担当者の方は、一刻も早く自社サイトを改めましょう。
それでは、今回のテーマの締めとして、それぞれのメディアが持つ媒体特性を簡単にご紹介しておきます。
- 視聴者数が多く、影響力が大きいメディア
- 視覚と聴覚に訴えることで、分かりやすく伝えてくれるメディア
- リアルタイム視聴だけでなく、録画視聴も多いメディア
- スマホをいじりながらの視聴が多いメディア
- 通勤・通学時間帯によく聴かれるメディア
- 家事中や仕事中、移動中など、何かを「しながら」利用されやすいメディア
- 電話やハガキ、インターネットを介してリスナーも参加可能な双方向メディア
- 「好みのパーソナリティの番組だから聴いている」といった具合に、パーソナリティとリスナーの絆が強いメディア
- 番組の中で好きなパーソナリティの発した言葉が、リスナーの行動につながりやすいメディア
- 情報の信頼度が高いメディア
- 地域・地元に強いメディア
- 政治経済や社会問題に高い関心のあるお客様が多いメディア
- ブロック紙、地方紙は、発行地域で大きな影響力を持つメディア
- 個人の趣味嗜好や興味関心に応じて読者が異なる、ターゲットセグメントメディア
- 「自らお金を払って購入する」ため、ロイヤリティが高いメディア
- 保存性に富み、繰り返し読まれる反復効果の高いメディア
- ライフスタイルに影響を与えるメディア
- ビジュアルと文章で理解を深め、行動を喚起させる、購買行動につながるメディア
- 双方向性、即時性、更新性の高いメディア
- 自分専用のパーソナルスクリーンを持つメディア
- スマホの場合、ユーザーの位置情報を活用できるメディア
- データに基づく効率的なターゲティングが可能なメディア
- テキストや静止画だけでなく、動画活用も可能な、表現の自由度が高いメディア
おさらい
- シニア層は、TVやラジオ、新聞といった旧来型メディアとの接触時間が多いが、インターネット利用が最も少ない層でもある
- 女性60代のTV視聴時間は、他年代と比べても群を抜いて長い
- ターゲットに応じて、利用するメディアを選定しないと成果を得られない可能性が高い
- 「ターゲット」に合わせて自社サイトの仕様やコンテンツを整える。ここを誤ると、意図した目的を果たせないどころか、自社にマイナス評価を与えかねない
次回は、「広告と広報・PRの違い」をテーマにお届けしたいと思います。