PDCA
不確実な環境における計画のつくりかた3つのポイント
2021年04月28日
1か月先がどうなっているか、まったく分からない時代に突入しました。
当初予定していたセールスやプロモーションがかけられない、商談が延期になった、そんな声をよく耳にします。
そんな中、毎年中期経営計画を策定している企業から、
「今年は、1年後と言わず3か月先もどうなっているか分からないので、計画を策定しないでおこうと思う。
策定する時間があるなら目の前のことに集中して対応していった方が会社のためになる気がするんだけど、どう思う?」という質問がありました。
確かに、現状のような経営環境であれば、そう思いたい気持ちも分かります。計画策定は楽な仕事ではなく、労力がかかります。
しかしながら、どのような経営環境においても、筆者自身は中期経営計画はつくるべき、だと考えています。
今回は、不確定な時代における計画のつくりかたについて3つのポイントをお伝えします。
1.将来のありたい姿を設定する
中期経営計画とは、将来においてどうありたいかをまず設定したうえで、逆算(バックキャスト)で実行計画を策定するものです。
「どうありたいか」は、どんな経営環境であっても揺るがないものです。(どうありたいか、とは売上目標などの数値目標だけでなく、経営理念、経営目標などを指します)。
ここまで不確実な環境では、将来を描く気持ち、思考の余裕が生まれづらいかもしれませんが、
今後ずっと今の状態が続くかというとそうではありません。平時に戻った時に備えて将来「どうありたいか」は、設定するようにしてください。
社員からすれば、そのありたい姿が、不安定な環境において目指すゴールにもなります。
2.ポジティブシナリオとネガティブシナリオの両方を描く
ポジティブシナリオとは、こうなればいいな~。こういけばうれしいな~という楽観的な予測 です。
ネガティブシナリオとは、こうなるとしんどい、まずい、という悲観的な予測 です。
平時であれば、ポジティブシナリオで作成した計画を基に、実行体制を構築していけば十分なのですが、
現環境下では外部環境の変化が大きすぎるため、ポジティブシナリオだけでは不十分です。
そのため、ネガティブシナリオも同時に作成し、”事前”に悪くなった場合の打ち手を考えておくことが重要になります。
ネガティブシナリオを描くことで、「プレ・モータムシンキング」をすることができます。
「プレ・モータムシンキング」とは、未来における失敗を先に予測(成功ではなく、失敗を予測する)することで、
その失敗を事前に回避するための打ち手を考える思考法のことを言います。
計画に失敗するパターンの多くは、うまくいかない事象が起きてから、初めて打ち手を考えるためです。
すでに小火が起きているため、精神的にも余裕がありませんし、なんとかしなければ!という焦りで、十分に検討できないまま対策を実行してしまいます。加えて、発生してから考えるため、着手スピードも遅くなりがちです。
この環境下においては、「うまくいかないこと」が絶対にあることを前提に計画を進めていくほうが、成功の確率が高くなります。
3.見直しを前提で進め、細かくチェックしていく
作成した計画は、見直しを前提に実行を進めていってください。
いくらポジティブシナリオとネガティブシナリオを精緻に作成したとしても、未来がどうなるかは誰にも分かりません。
その状態で初期に作成した計画に固執しても良い結果は生まれません。
そこで、3か月に1回は計画を見直すことを前提に、場合によっては180度方向転換することも厭わない気持ちが必要です。
未来がどうなるか、昔も今も分かりません。今はその振れ幅が大きくなっているだけです。
荒波を乗り越えるためにも航海図(経営計画)と方位磁石(PDCAの推進体制)は必ず必要です。
ぜひ、これを機に改めて自社の計画策定と推進体制について見直してみてください。