経営革新計画
システム会社(Sier)向け高度専門職ビザの取得を有利にする「経営革新計画」とは?
2026年04月30日

システム会社にとって、高度な専門スキルを有する外国人材の採用は、経営戦略上非常に大切なポイントです。一方で、高度専門職ビザはポイント制による審査のもとで一定の要件を満たす必要があるため、活用ハードルが高いです。
そこで有効な施策となり得るのが、経営革新計画です。
経営革新計画とは、中小企業等経営強化法に基づき、都道府県知事等の認定を受ける事業計画です。
本コラムでは、経営革新計画が高度専門職ビザの取得に有効な理由と取得するためのポイントについて解説します。
本コラムのポイント
- 経営革新計画の認定取得により10点が加算され、高度専門職ビザの申請資格(70点以上)を獲得しやすくなる
- 経営革新計画の認定は、ビザ加点以外にも低利融資・補助金加点・対外信用力の向上など複数のメリットがある
- 一方で、経営革新計画において重要な「事業の言語化」「数値根拠の整備」「新規性の定義」でつまずくケースが多いことから、スムーズな認定取得に当たっては、支援経験豊富な認定支援機関の活用が効果的である
もくじ
高度専門職ビザの概要
高度専門職ビザ(正式名称:高度専門職1号・2号)は、日本政府が高度な専門性・技術を持つ外国人を積極的に受け入れるために設けた在留資格です。
通常の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)と比べると、以下の点が異なります。
| 通常の就労ビザ | 高度専門職ビザ | |
|---|---|---|
| 在留期間 | 最長5年(更新制) | 5年(1号)/無期限(2号) |
| 就労の範囲 | 原則として指定職種のみ | 複合的な就労活動が可能 |
| 家族帯同 | 原則配偶者のみ | 父母・配偶者の就労なども可 |
| 永住申請の優遇 | 通常10年以上 | 1号で3年、2号で1年に短縮 |
| 審査基準 | 職種・会社要件中心 | ポイント制(70点以上) |
システム会社において採用ニーズが高い優秀なIT人材は、複数のオファーを比較検討することが多く、在留上の安定性(在留期間・永住申請の優遇)・家族帯同の可否が入社判断に影響するケースも少なくないため、高度専門職ビザの取得は採用競争力と定着率の両面で有効です。
経営革新計画の「10点」が持つ意味
先述の通り、高度専門職ビザの取得には審査基準を満たす必要がありますが、この点において経営革新計画が持つ10点は非常に大きな意味を持っています。
なぜなら、高度専門職ビザは法務省が定めるポイント計算表に基づいて行われますが、以下のケースのように、定型通りのやり方では点数が不足することがよくあるためです。
例)大卒、職歴5年、年収600万円の30歳エンジニア(日本語能力試験N2取得者)を採用したい場合
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 大卒 | 10点 |
| 職歴5年 | 10点 |
| 年収600万円(30歳の場合) | 20点 |
| 年齢30歳 | 10点 |
| 日本語能力試験N2取得者 | 10点 |
| 合計 | 60点(申請には10点不足) |
※各ポイントの計算方法は、出入国在留管理庁サイトをご参照ください
(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/newimmiact_3_evaluate_index.html)
上記の状況であった際、仮に経営革新計画の認定を受けて10点が加算されると、合計70点で申請資格が生まれます。経営革新計画以外で不足する10点を獲得するには、上記ケースの場合年収が800万円(+10点)や修士号(10点)が必要となってくるため、人材の希少性やハードルも高くなります。
経営革新計画の概要・申請要件・取得メリット
経営革新計画とは
では、高度専門職ビザの取得に有効な経営革新計画とは、どのようなものなのでしょうか?
経営革新計画は、中小企業等経営強化法に基づき、都道府県知事等の認定を受ける事業計画となっており、新たな事業活動を通じて経営を革新し、付加価値額や給与支給総額の向上を目指す計画を策定・申請することで認定を取得できます。
申請要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 対象企業 | 中小企業(ソフトウェア業:従業員500人以下) |
| 計画期間 | 3〜5年 |
| 数値目標 | 付加価値額の伸び率、給与支給総額の伸び率 |
| 事業の新規性 | 新事業活動に該当すること |
| 申請先 | 原則として本社所在地の都道府県窓口 |
システム会社の場合、以下のような取り組みが新事業の切り口になります。
- 自社開発プロダクトへの移行・拡充
- 特定業種向けシステムへの特化
- 海外市場向けSaaSサービスの展開
- AIやクラウド技術を活用した新サービス開発
審査軸でもある「新規性」が必要ですが、必ずしも世界初・業界初である必要はありません。
自社にとっての新しい取り組みであれば認定対象となり得ます。
また、経営革新計画の認定を受けると、ビザ加点以外にも以下の支援措置が利用可能になりますが、システム会社にとって特に重要なのは下表の「5.対外信用力」です。
人材の取り合いが激しいシステム会社にとって外国人エンジニアの採用面接や会社案内の際に「経営革新計画の認定企業」と示せることは、採用競争力の面で非常に大きな意味を持ちます。
取得メリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 1.低利融資 | 政策金融公庫や信用保証協会による優遇融資 |
| 2.信用保証の特例 | 保証枠の拡大・保証料率の優遇 |
| 3.補助金への加点 | 各種ものづくり補助金等の審査で有利になる場合あり |
| 4.販路開拓支援 | 中小機構等が提供するビジネスマッチングへの参加機会 |
| 5.対外信用力 | 行政から認定された計画として取引先・金融機関・採用市場への訴求に活用可能 |
経営革新計画の取得ポイント
システム会社が計画策定でつまずく3つの問題
システム会社では、経営革新計画の取得を目指すシステム会社が多い一方、計画書作成に苦戦するケースが散見されます。
システム会社が経営革新計画においてつまずくケースとして、次の3つが挙げられます。
① 事業の強みを「言語化」できていない
「システムの受託開発をしています」「SESで案件をこなしています」等の曖昧な説明では申請は通りません。
計画書では、「自社が何者で、どこに価値を提供するか」を第三者に伝わる形で記述する必要がありますが、多くのシステム会社では自社の強みを、言語化することに苦戦しています。
また、システム会社特有の専門用語をそのまま使っており、審査員に伝わり切らないということも多いです。専門用語の説明は、読み手(審査員)への配慮として必要です。
② 数値計画の根拠が弱い
売上の数値計画は、根拠のある数字でなければなりません。市場規模・競合状況・自社のリソースと照らし合わせ、説明できる計画書が求められます。
「本当に売れるのか?」「単価の根拠は?」「現実的な数字なのか?」等、審査員目線で納得がいく数値計画を作り上げる必要があります。
しかし、普段計画書をつくったことがない企業では、何を基準にどうやって作ればいいか分からず、前年比110%など根拠の薄い目標設定をしているケースが多くあります。
③ 「新規性」の定義がわからない
何をもって「自社にとって新しい取り組み」とするか、どこまでが認められるかの判断が難しく、無難な記述に終始し、計画の説得力が落ちるケースがあります。
自社にとって、新たな事業活動であればよいため、すでに他社において採用されている技術・方式を活用する場合でも原則承認の対象となります。
また、ユニークなアイデアではあるものの、第三者目線では新しい事業と判断されにくい計画書となっているケースもあります。
外部機関(専門家・支援機関)を活用すべき理由
計画策定でつまずかず、短い時間で、より確実に、経営革新計画の認定を取得するためには、以下の理由から外部機関を活用することも有効です。
① 認定支援機関のチェックが前提となっている
認定支援機関とは、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な支援機関を指します。
認定支援機関の資格は、税理士なども保有しているため「顧問税理士へ頼めばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、「税理士業務が多忙で対応困難」「専門外なので対応不可」とする税理士が多いのが実情です。
また、認定支援機関は形式的な要件となっているものの、経営革新計画の審査ポイントである「新規性」と「実現可能性」が審査側に論理的で一貫したストーリーとなっているかという中身の部分に踏み込んで関与することが前提となっているため、支援経験が豊富な認定支援機関でないと意味がありません。
② 申請時点で完成形にて提出する必要がある
経営革新計画は、補助金などと違い、審査員から「〇〇を□□に修正してください」と一定のフィードバックがあるため、「一度完成させとりあえず提出すればいいのでは?」と思われるもしれません。
しかし、受付時点で新事業ではないと判断されると同じ内容では再申請が不可になる場合があります。これは、認定支援機関のチェックが前提ということもありますが、申請時点で一定のレベルに仕上げておく必要があることを意味しています。
③ 申請書類の作成にはかなりの時間を要する
申請書類は、約20ページにも及びます。
中小企業等経営強化法に基づいた都道府県知事等の認定を受ける事業計画となるため、日々の業務の片手間で作成出来るほどハードルは低くありません。
補助金などと同様に市場動向などを考慮した根拠のある計画の策定を行わなければなりません。
経営革新計画の申請を数多く支援している認定支援機関では、自社の強みを審査に通る形で言語化や数値計画の妥当性を外部視点で検証し、審査ポイントに留意した一貫した計画を描いてくれます。
お問い合わせ・無料相談
経営革新計画はシステム会社の外国人採用戦略において、非常に有利な制度です。
是非一度、経営革新計画の策定をご検討してみてください。
特に、以下のようなご状況の方は、ぜひ一度ご相談ください。
- 外国人ITエンジニアを高度専門職ビザで採用・定着させたい
- 自社が経営革新計画の対象になるか判断したい
- 計画書の作成を任せられる専門家を探している
認定支援機関の資格を有する新経営サービスの経営革新計画の策定支援の詳細・進め方は、以下のページでご確認いただけます。
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