事業承継にかかる期間
事業承継するまで何年かかるのか?
ポイント
- 親族内承継の場合は、5年以上が最多ではあるが、1年未満や準備期間がなかった割合も4割近くあり、社長急逝などによる突発型の事業承継も多く見受けられる。
- 「親族内承継」に向けての準備期間については、後継者は、他の類型と比較して「現場で働き、自社の技術やノウハウ、商習慣等を学んだ」、「学校やセミナー等に通い、経営に関する知識やスキルを学んだ」と回答する割合が高い。
- 社外への承継の場合は、1年未満や準備期間がなかったのが7割。
- 「社外への引継ぎ(第三者承継やM&A)」については、「従業員と自社の課題等について話し合う機会を設けた」と回答する割合が高く、特に社内から信認を得る必要があるため従業員とのコミュニケーションを強化する取組を重視している様子がうかがえる。
後継者に事業承継の打診をし、社長交代するまでの期間の実態は?
親族内承継の場合と、社外への引継ぎの場合で見てみましょう。
(1)事業承継の準備期間
下記の図は事業承継の類型別に、事業承継の準備期間を見たものです。
これを見ると、「親族内承継」は、他の類型と比較して準備期間が長い傾向にあり、「5年以上」と回答した割合が約3割と最も高くなっています。
ただ気になる点もあり、1年未満や準備期間がなかった割合も4割近くあり突発型の事業承継も多く見受けられます。
一方で、「社外への引継ぎ」は準備期間が短い傾向にあり、「準備期間はなかった」、「1年未満」と回答した割合が7割近くを占めています。ただし、準備期間が1年以上かかった企業も約3割存在しており、いずれの類型においても、事業承継には一定の準備期間が必要と考えられます。
事業承継類型別に見た、事業承継の準備期間
出所:「2023年版中小企業白書(中小企業庁)」
(2)後継者が準備期間中に取組んだこと
下記の図は、事業承継の類型別に、後継者の準備期間中の取組について見たものです。これを見ると、どの類型においても、「自社の経営資源・財務状況の理解に努めた」と回答した割合が5割を超えています。
また「親族内承継」においては、他の類型と比較して「現場で働き、自社の技術やノウハウ、商習慣等を学んだ」、「学校やセミナー等に通い、経営に関する知識やスキルを学んだ」と回答する割合が高いことがわかります。
一方、「社外への引継ぎ(第三者承継やM&A)」については、「従業員と自社の課題等について話し合う機会を設けた」と回答する割合が高くなっています。「社外への引継ぎ」の場合、特に社内から信認を得る必要があることから、従業員とのコミュニケーションを強化する取組を重視している様子がうかがえます。
事業承継類型別に見た、後継者の準備期間中の取組
出所:「2023年版中小企業白書(中小企業庁)」