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POINT

事業承継 検討のポイント

後継者育成のポイント

社長が対話をとおして教育する

ここでは社内外における具体的な後継者教育のポイントを解説します。

まずは「社長個人が行う後継者教育」です。

後継者を育てるうえで大切なことは、後継者との対話を通じてこれまで社長が大事にしてきた思いや経験や勘を明らかにしていくことです。
この教育によって後継者の経営能力を大きく向上させることが可能になります。

理念を伝達する

経営理念が、お題目で形だけというイメージをもたれることは少なくありません。

しかし、社内に掲げている経営理念や社訓は、創業社長が思いや希望を胸につくったはずです。

事業承継では今一度、「わが社は何のために存在しているのか」「創業のきっかけ、本当にやりたかったことは何なのか」「今まで大事にしてきたことは何か」などを整理し、言語化し後継者に伝えることが重要であり、それこそが社長から後継者に渡されるバトンです。

今の会社は、長い事業活動のなかで社員や従業員の汗や喜び、苦悩から生まれたものです。

後継者はその重さを知ることによって、会社を継ぐことの本当の責務を感じ取ることができるでしょう。

これが社長にしかできない最高の後継者教育です。

経営の見える化

社長による後継者への教育では、理念を伝えるだけでなく、一緒になって自社のあり方を考えることが後継者の経営能力の向上につながります。

一番に明らかにしておくべきことは「自社の強み」です。

中小企業は、価格競争では勝てないからこそ、価格以外の特徴によってお客様に認めてもらっているはずです。
その特徴や強みは、社長の経験や勘などといったものであるかもしれません。

それらの強みや儲けの仕組みなどを明らかにしていく過程で後継者の経営能力が高まっていきます。

とくに自社の強みについては、社員や取引先に取材して明らかにしていくことをおすすめします。
社員や取引先は、社長と異なる視点から見ていることが多く、現場でのさまざまな業務を通じて、社長の知らない情報をもっていることも少なくありません。

判断力よりも実行力を磨かせる

経営者は、つねに判断をしなければならない立場であり、正しい判断力、適切な意思決定を求められます。
正しい判断をするためには視座を高めることが重要で、また判断に迷った場合には経営理念など会社の目的に立ち返ることも必要です。

しかし、答えがないのが経営の世界です。どんなカリスマ経営者でも、いつもベストな判断はできないし、間違った判断をすることもあります。

右に行けば右なりの道があり、また次につながっていくでしょうし、左に行けば左なりの道があります。そういう意味では、むしろ判断力よりも実行力が重要となります。

それは名経営者と言われる人々であっても同様です。

社長は後継者に判断の正しさばかりを求めるのではなく、最後まで粘り強くやり切らせる教育が重要です。

後継者を育てるジョブローテーション

 最初はお客様と直に接する仕事に就かせる

会社の利益の源は現場にあります。創業者であっても、現場やお客様に育てられてきたはずです。
わがままをいうお客様は一人や二人ではなく、相当無理な注文をつけるお客様もいたことでしょう。
そして、そのお客様の要求に必死になって対応してきたことで強くなってきたはず。

後継者は、大学などで体系的な経営の勉強をしてきているかもしれませんが、会社で問題が起こったときに、机上の理論や部下の報告、データだけを見て判断するようではいけません。

迷ったら現場に戻り、そこで答えを見つけてくる人間に育てなければなりません。

だからこそ最初はお客様と直に接する仕事に就かせることが大切なのです。
現場ではどんな問題がどのようにして起こり、どのように解決されていくのかを五感で感じとらせることが社内教育の最初の一歩です。

部門横断プロジェクトのリーダーを任せ、リーダーシップを発揮させる

後継者を短期間で社長に育てていくには、できるだけ早く会社全体を理解させ、リーダーシップを発揮させる場所を与えたいところです。

それに適しているのは部門横断的なプロジェクトのリーダーをさせることです。

部門横断的なプロジェクトのリーダーを任せ、成果を創出させることで、他部門の社員も後継者と接することができ、後継者として信頼、認知されていくようになります。

後継者はゼネラリストでよい

最初はお客様に直接接する職場が望ましいので、営業1年、その後工場1年、企画6カ月、人事総務6カ月、経理6カ月などと3〜4年くらいで全部門を経験させればよいでしょう。

これに対しては、「そんな短時間では何もわからない」という意見も聞こえてきます。

しかし、後継者は、スペシャリストである必要はありません。
むしろ、広い知識、経験をもって全体最適ができるゼネラリストであることが必要です。
だから早期に全部門を経験させることが重要であり、それが社長交代に向けて現実的なのです。

早いうちに全部門をジョブローテーションすることで、社内に人脈ができます。
会社のほとんどの社員と早期に仕事をする機会をつくり、後継者として信用を高める場にします。

ジョブローテーションの総仕上げとしては、取締役として経理財務部門や経営管理部門に就かせることがよいでしょう。
財務や決算書づくりは後継者の苦手とする分野とも言われますが、経営する以上は財務や数字に弱いではすまされません。経理と財務はしっかりと理解しておきたいところです。

また、社長交代後の経営を考えて中期経営計画策定もリードし、重要指標を活用した実行管理をしておくと社長就任前の準備としては合格点です。

金融機関などとの関係を構築する

 経営者にとっての一番重要な社外関係者は金融機関でしょう。
中小企業の経営といえば「資金繰り」とも言われるくらい経営者にとって金融機関との良好な関係構築は避けて通れません。

ただ後継者のなかには金融機関の事情を知らないために、過剰に身構えたり、「いざ雨が降れば傘を貸さない」などと敵対視する人までいます。
しかし金融機関は、少々業績の厳しい会社に対しても「どうしたら貸せるか」という視点で見ていることが多いのです。

無借金経営で銀行にお金を借りていない会社もありますが、それはリスク回避の面からすると必ずしも褒められるものではありません。
銀行との付き合いがなければ、もし業績が悪くなったときに「〝実績〞がないからダメ」と言われることになりかねません。

業績が悪くなってから新規で借りるのは本当に難しいのです。

金融機関の言う信用や実績とは、返済がきちんと期日通りに行われていることであり、無借金経営では実績をつくれないわけです。

後継者と金融機関との関係構築では、金融機関に自社の中期経営計画や決算、事業の魅力をプレゼンさせるとよいでしょう。

異業種の経営者が集う研修に参加する

 経営全般の知識やセオリーを多く保有している経営者とそうでない経営者では、選択肢や引き出しの多様さから言っても自ずと経営能力に差が出てしまいます。

一方で、知識をもっていても、聞いた話や雑誌で読んだだけの知識では断片的な情報となってしまいがちで、実務で応用できません。
そのため、体系的に整理された学び方が求められます。経営者や後継者向けにプログラムが特化され、それを専門サービスとする社外研修に参加するのが有効です。

社外研修を選ぶポイントとしては、

  • 自社を徹底的に知る機会となる実践型の研修であること
    経営全般やセオリーの勉強だけでなく、自分の会社を徹底的に見える化・分析し、すぐに自社で試させる実践型の研修が望ましいでしょう。
    学んだことを自社で試行錯誤してみるからこそ本当の意味での力がつきます。
  • 異業種の経営者・後継者が参加する研修であること
    最近ではオンラインで受講できる研修も増え、非常に便利になっています。
    しかし、せっかくなら同じ悩みをもつ後継者や先輩経営者が参加する会場型の研修がよいでしょう。
    今後、経営者としてやっていくうえで一緒に同じことを学んだ者同士は、気軽に相談できる経営者仲間になるでしょう。
    また、異業種の経営者とディスカッションすることによって、他業種では当たり前の考え方・仕組みが自社に活かせる新たな視点であると気づくことも多々あります。
    参加メンバーとの交流で得られたものは一生の財産となるでしょう。

新経営サービスでも、後継者や経営者が自社の経営を学び直すプログラムとして「経営者大学」という研修を用意しています。

経営者大学は各期15名の受講者で、京都で1年かけて(毎月1泊2日×12カ月)、各分野の講師陣と受講者の智恵と情熱をぶつけ合い、真剣勝負をとおして具体的な経営成果を上げる実践の場です。

“経営者として何をやり遂げたいか?”といった問いかけを通じて、経営者としての生き方を定め、自分の命を何のために使うかという“使命感”に気づかせるプログラムを組み入れており、それは強固なリーダーシップの発揮につながります。

文責

中谷 健太
中谷 健太
(株)新経営サービス 経営支援部マネージャー
「事業承継&経営革新の専門家」
事業承継士は、事業承継の唯一の資格であり、その専門性は折り紙つき。経営者のハッピーリタイアメントに向けて、事業承継の全体最適・プロデュース(弁護士や税理士をコーディネートする立場)を図る事業承継の専門家です。
これまで後継者不在の会社や、事業不振で廃業を検討していた会社、親族が分裂しかかっていた会社、社長の急逝による緊急対策など、様々なややこしい事業承継を担当。
また事業承継のみならず、補助金や国の中小企業政策も活用しながら、数多くの中小企業の経営革新・組織開発の支援を手掛けている。