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徳川家康に学ぶ事業承継

事業承継のアレコレ

2024年07月18日

徳川家康に学ぶ事業承継

後継者の人選やタイミングを間違えると、すぐお家騒動に発展するのは現代だけではありません。
戦国時代の大名も事業承継にはアタマを悩ませました。

その中で徳川家康は極めてスムーズにバトンタッチできたケースで、征夷大将軍の地位を秀忠、家光と継がせ、260年間続く江戸幕府の治世を実現させました。

(1)家康は豊臣秀吉の失敗から多くを学び、後継者育成に活用

① 継承時に一気に全てを渡してしまう危険を認識する

実子のなかった秀吉はおいの秀次に関白職と豊臣氏の氏長者(うじのちょうじゃ)を譲り、自らは太閤(たいこう)となりました。
ところが後に淀殿が秀頼を出生、ポスト秀吉を巡る暗闘が始まり最後は秀次の切腹で決着したのです。

いったん譲ってしまうと制度上の関白・秀次の地位が独自の権力を生み、秀吉には自らの権力について具体的な根拠が残らなかったのです。
つまり、秀吉が秀次を掌握できない局面を生んでしまいました。

この事件を間近にみていた家康は継承時に一気に全てを渡してしまう危険を認識しました。

② ミスを犯す後継者を代えることなく、トップ交代の時期を早め、時間をかけて後継者を育成

家康は後継者に指名した三男・秀忠を代えることはありませんでした。
秀忠は関ケ原へ徳川主力軍を率いながら遅刻し、当日の戦いに間に合わないという大ミスを犯しました。
家康には実子が多く、交代可能な後継者候補には事欠きません。
(秀忠の同世代の兄弟である次男・結城秀康は関ケ原へ出陣した父・家康の代わりに関東防衛を指揮し、四男の松平忠吉は関ケ原戦場で先陣を切り、自らも負傷する活躍ぶりを見せた)

それでも家康は当初の承継計画を変更することなく、むしろトップ交代の時期を早めることを模索したといいます。

秀忠が武家の「棟梁」として未熟な部分は、家康が培ってきた政治力・人間関係で補完する体制でした。
トップ(棟梁)交代は早く実現し、その後時間をかけて後継者を育成する方法を選んだのです。

③ 秀吉の遺訓を順守し、諸大名からの信望をつなぎ留める

家康は秀頼と孫娘の千姫を1603年に結婚させるなど秀吉の遺訓を順守しました。
すでに秀吉在世の時からは状況が一変しており、家康が愚直に守る必要はなさそうに思えます。

しかし、重要な政治行動については、秀吉の遺言と照らし合わせる家康の姿勢が、諸大名からの信望をつなぎ留めることにつながったのです。

(2)東照宮(徳川家康)遺訓

人の一生は重荷を負て遠き道をゆくが如し
いそぐべからず
不自由を常とおもへば不足なし
こころに望おこらば困窮したる時を思ひ出すべし
堪忍は無事長久の基
いかりは敵とおもへ
勝事ばかり知てまくる事をしらざれば
害其身にいたる
おのれを責て人をせむるな
及ばざるは過ぎたるよりまされり

及ばざるは過ぎたるよりまされり

(訳)
人の一生は重い荷物を背負って遠い道をゆくようなものである。急いではならない。
不自由を常と思えば不足もない。心に望みが起きれば困窮した時を思い出せ。
堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え。勝つことばかり知り、負けることを知らなければ害がその身にいたる。おのれを責めて人をせめるな。
及ばざるは過ぎたるよりまさる。

(3)及ばざるは過ぎたるより勝れり

これは
「やり過ぎると取り返しがつかないので、やりすぎるよりも、少し足りないぐらいの方が良い。」という意味です。

孔子の言葉にも、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」があります。
これは「何事も程々が肝心で、良いと言われることでも、やり過ぎは害になる。」という意味です。

少し足りない状態であれば、人からの協力を仰ぐこともできますし、もし過ちに気付いた場合、修正することもできます。
しかし、やりすぎた状態では、人を巻き込んで物事を進めることもできず、後戻りもできません。

物事を一人でやり過ぎず、程々に行い、
あとは人に任せながら進めていくことが、リーダーとして重要であるということかもしれません。

この記事の監修・筆者

中谷 健太
中谷 健太
(株)新経営サービス 経営支援部マネージャー
「事業承継&経営革新の専門家」
事業承継士は、事業承継の唯一の資格であり、その専門性は折り紙つき。経営者のハッピーリタイアメントに向けて、事業承継の全体最適・プロデュース(弁護士や税理士をコーディネートする立場)を図る事業承継の専門家です。
これまで後継者不在の会社や、事業不振で廃業を検討していた会社、親族が分裂しかかっていた会社、社長の急逝による緊急対策など、様々なややこしい事業承継を担当。
また事業承継のみならず、補助金や国の中小企業政策も活用しながら、数多くの中小企業の経営革新・組織開発の支援を手掛けている。