これからは「どんな商売をすれば良いか?」ではない
2025年06月27日

もくじ
「どんな商売したら良いか、何をやればいいか?」ではない
こういう仕事(経営コンサルティング業)してますと、経営者から「どんな商売したらいいか?」という質問が度々聞かれます。
これは時代の流れやトレンド、マーケットのニーズを重視した視点の質問で、つまり「儲かる事業」を探そうとする発想です。
しかし、今は「何をやるか」ということでは、もうありません。
例えば、京都ですと呉服、仏具など伝統産業が多く、そのほとんどが斜陽産業でダメだと言われています。しかし、そのような業界においても、ちょっとチューニングを変えれば(例えば、リサイクルの着物とか)、非常に上手く伸ばしています。
そのようなアイデアは、やはり誰が考えるかで出てきます。
仮にそのようなアイデアがあったとしても、つまり、どんな商売でも「やる人」次第で成功にも失敗にもなる、というのが現実です。
「誰がやるのか」ということは以下の観点でも大きな差となって現れます。
実行力 | ビジネスは「やる」と決めたあとに、どれだけ粘り強く、賢く、早く動けるかが鍵。誰が実行するかで成果が変わる。 |
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継続力と覚悟 | 成功には時間がかかることが多い。「何をやるか」より「最後までやり抜ける人か」が重要。 |
人格と信頼 | 顧客や取引先、社員との関係性は「人」で決まる。 |
変化対応力 | どんな事業も時代に応じて柔軟に変える必要がある。変化に対応できる人材かどうかが問われる。 |
事業承継においても、やはり「どんな事業を継がせるか」より「誰に継がせるか」が本質です。
ベンチャーキャピタルが投資判断する基準も「人に投資する」です。
この言葉は、「時流」や「商材」にばかり目を奪われがちな現代において、「人材の価値」「経営者の在り方」の重要性を思い出させてくれます。
新幹線型運営を目指したいが・・・
言い換えれば、会社というのは、やっぱりトップ、経営者で決まるということです。
ところが、会社はトップで決まるんですが、トップ一人で経営はできません。トップを支える経営幹部も大事です。
ただ、どうでしょう。そのトップ、あるいは後継者と経営幹部。後継者にしたら、年上のベテラン幹部との信頼関係。いずれにおいても同じ方向に向いているかが、大事になるわけです。
昔から言われている言葉。「ディーゼル機関車型運営」「新幹線型運営」という言葉があります。この表現は、組織や経営のスタイルを比喩的に表したものです。主に経営者やリーダーの役割、組織全体の動き方に焦点を当てています。
「ディーゼル機関車型運営」
先頭車両(社長)が、一両でガーと目的・目標に向かって走る状態。高度経済成長時代で良く見られた運営スタイルです。
しかし近年は、川が川上から川下に流れている中で、いつの間にか川上に向かって泳いでいるような感覚です。その川の流れ以上の力で泳がないと、流されて溺れてしまいます。だから新幹線型運営が必要となるわけです。
「新幹線型運営」
全車両にモーターがある。先頭車両は社長、二両目は常務、営業部長、工場長・・といった感じです。前の車両が疲れてきたら、後ろからグイグイと押してあげる、そんな運営スタイルです。
どちらが良いのか?という問いに対しては、一概にどちらが良いとは言えず、経営環境・組織の成熟度・時期によって適したスタイルは異なります。
例えば、創業期・混乱期・ベンチャー は「ディーゼル型」が効果的でしょうし、成長期・承継期では 「新幹線型」へ移行が望ましいと言えます。
事業承継では、「創業者のディーゼル型運営」をいかにして「新幹線型」へと転換していけるかが大きなテーマになります。
後継者は、「引っ張る」ことよりも「自走できる組織づくり」に力を入れる必要があります。
すると、この「モーターの正体」は一体なんなのか?ということがキーワードになるわけです。
「新幹線型運営であってほしい」と言いながら、でも現実の中小企業はそうではありません。
例えば、後ろの車両がブレーキかけている。あるいは反対方向にいこうとしている等・・・
でも、やはりこの皆が同じ方向を向いて進んでいこうとする新幹線型運営を目指さなければならない。
そうなれば、前より会社の規模は小さくなったとしても、がっちり儲けられる、結束力が高い経営・組織運営が確立されるでしょう。
トップもいずれ体が動かなくなります。まさか、のような万一の時もあります。そんな時に常に後ろからバックアップ、そういう状態ができていれば望ましいわけです。