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オーナー社長のための事業承継「事業承継はじめの一歩」 > お客様事例 > 廃業寸前の先行き不安の会社を磨きこみ。従業員承継を実現し、業績回復へ

CASE

お客様事例

廃業寸前の先行き不安の会社を磨きこみ。従業員承継を実現し、業績回復へ

  • 事業承継計画書作成

ご相談内容

お客様情報

  • 社長(75歳)、後継者候補なし
  • 従業員10名、設備整備業

ご相談の経緯

最近とくに増えている事例です。
社長が75歳を迎え、これまで贔屓にしてもらっていた経営者仲間も高齢化、あるいは社長交代が進み、受注減少、業績不振に陥っていました。社長は、事業の先行きも不安ということもあり廃業を模索しており、借入金もあったことから、取引金融機関から事業承継士に相談がありました。
金融機関も融資先の後継者不在は懸案事項となるわけです。

主な状況

  • 借地の上に、整備工場を立てており、廃業した場合には更地にしなければならない(場合によっては土壌改良も必要)
  • 従業員は10名であるが、その半数は50~60歳代で再就職の見通しも厳しめ。
  • 顧客は数社持っているが、仕事の受注が年々減少し、固定費を賄えず赤字決算が2期続いている。
  • 借入金(個人保証つき)もあり、会社の現預金が徐々に減少。
  • 社長への未払い報酬や、会社への貸付金もある。

危惧する点

  • 廃業するにしても、意外と大きなコスト負担が発生しそうであり(更地化や土壌改良の必要性も)、その費用の捻出が困難。また従業員の再就職対策や退職金支給といった悩ましい問題もある。
  • 従業員が承継するにも、今の事業体では先行き不安で、また借入金(個人保証)もあることからく誰もやりたがらない。
  • 従業員本人が事業を承継すると決めても、個人保証があると、その従業員家族(妻)が反対することはよくある。

対策

① 事業再生を実施し、コンパクトで身軽な会社に

  • 社長の親族には後継者候補はいないが、従業員の中には技術力がありと周りから慕われている40代従業員がいた。引き継いでくれるかどうかは別にして、その従業員が背負っていけるくらいの規模へ会社を小さくする必要があった。
  • そこで再生計画を策定し、借入金の返済スケジュール見直し、不採算事業の整理、売却可能資産や在庫処理による現金化、早期希望退職(人員削減)を進め、コンパクトで身軽な会社に変身させることができた。
  • 借入金の個人保証も新代表に引き継がれることになったが、借入金返済を含めても、既存の得意先の売上が安定さえすれば、確実に現金が残るシミュレーションとなり、後継者従業員の家族への説明と理解を得て、承継することが決定。

② 社長のハッピーリタイアメント対策

  • 社長への未払いの報酬や会社への貸付金もあったが、それは放棄してもらい、生命保険を解約して、それを退職金として支給。
  • 従業員後継者は、ほぼゼロ円で自社株式を100%手にしたが、個人保証は継続して、長期で借入金を返しつづけることに(考え方を変えれば、高値で株式を買って、分割払いしているのと同様)。

③ 事業を回復軌道に

  • 身軽になった会社は、その後、後継者の努力もあって新規取引先の開拓もでき、安定的に利益が残る会社に変身。業績は回復軌道に乗り、さらに経営革新計画の認定も受け新たな事業もスタート。若手の採用も少しずつ進んだことで会社も若返り、明るい職場に生まれ変わった。

担当事業承継士よりコメント

引き継ぐべき事業かどうかの判断は、事業承継の入り口の段階で重要です。
ただ事業を立て直せる余地があるならば、むやみに廃業に逃げ込むよりは、実現可能な再生計画を作成し、次世代の経営者へバトンタッチを行う努力が重要です。
従業員承継では、株式の買い取り資金の問題や、借入金の個人保証の問題はありましたが、考え方を変えれば、それを受け入れることも経営者として成功するために必要なこと(覚悟がつく)かもしれません。

担当コンサルタント・文責

中谷 健太
中谷 健太
(株)新経営サービス 執行役員
「事業承継&経営革新の専門家」
事業承継士は、事業承継の唯一の資格であり、その専門性は折り紙つき。経営者のハッピーリタイアメントに向けて、事業承継の全体最適・プロデュース(弁護士や税理士をコーディネートする立場)を図る事業承継の専門家です。
これまで後継者不在の会社や、事業不振で廃業を検討していた会社、親族が分裂しかかっていた会社、社長の急逝による緊急対策など、様々なややこしい事業承継を担当。
また事業承継のみならず、補助金や国の中小企業政策も活用しながら、数多くの中小企業の経営革新・組織開発の支援を手掛けている。