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後継者による事業承継後の経営革新

後継者向け

2023年10月16日

後継者による事業承継後の経営革新

事業承継は企業の成長のチャンス

経営者の若返りは事業に好影響を与えやすいことをお伝えしてきました。
→ コラム「30代の後継者が業況を好転させている

先代経営者や後継者は、事業承継が単なる経営者交代の機会ではなく、
企業の更なる成長・発展の機会であることを認識した上で、事業承継に向けた準備や承継後の経営に臨むことが重要です。

事業承継の真の目的は、
「事業承継を契機に、経営革新を果たすこと」です。 

 

後継者として「第二創業」する

自己実現の仕方として、自分で「起業・創業」することも選択肢ですが、それは「事業承継」でも可能です。
事業承継した後継者の大半が「第二創業」で業績を伸ばしているのも事実です。

「第二創業」とは、事業承継をきっかけとして、新しい取り組みを始めることです。
既存事業や業界自体の需要落ち込みにあるならば、新規事業や新分野への挑戦は自然な選択といえるでしょう。
実は事業を引き継いだ後継者の6~7割が新しい取り組みを始め、その過半数が業績を伸ばしているという事実があります。

 

後継者にとっての「第二創業」のメリット

繰り返しになりますが、事業承継による自己実現は、ゼロからの起業に比べてメリットがあります。

① まったくゼロからの起業に比べ、リスクを低減してスタートできる。

まずは、既存の経営基盤を引き継ぐことができることが一番のメリットでしょう。
とくに資金力や既存事業の収益性があることで、新規事業が軌道に乗るまで数年赤字だったとしても、持ちこたえることができます。
この点、ゼロからの新規創業であれば、新規事業が軌道に乗るのが遅れれば、たちまち資金繰りに窮し、私財を投入することもやむを得ません。

② 資金調達を行いやすく、国の様々な支援施策を活用できる

既存の経営基盤を引き継ぐことは、返済の滞りなど大きな問題がない限り、これまでの実績を引き継ぐことにもなり、金融機関からの一定の信用があり資金調達がしやすくなります。
また、事業承継を契機とした経営革新等への挑戦を後押しするために、国も「事業承継・引継ぎ補助金」による支援を実施してます。
さらに「経営革新計画」の承認を得ることで、様々な支援施策を活用することも可能になります。

③ V字回復の立役者になれる

社会全体の変化が加速度的に進んでいる現代においては、既存事業が時代のニーズに合致しなくなり衰退期に陥っていることも多いでしょう。
後継者の第二創業によって、経営の行き詰まりを解消し、場合によってはV字回復の立役者になれます。そうなれば、後継経営者に注がれる従業員や取引先の信用も得ることに繋がるでしょう。

 

代表交代したら、いきなり「革新」しようと思わないこと

とはいえ、これまで説明したことと矛盾するかもしれませんが、事業承継後、すぐに経営革新することはいただけません。
後継者はとかく、自分がこの会社を革新し大きく成長させよう という気持ちが先走り、一気に変えたりしまいがちです。

一番まずいのは、これまで会社を支えてきた顧客層を軽視して、新たな顧客層を獲得しようするビジネスモデルに切り替えることです。
(大塚家具は、それで事業承継が失敗しました)

事業承継後にすぐに革新することが避けられる理由はいくつかあります。

  • 新社長はまだ既存事業や市場の理解が十分でない可能性もあり、その中での大きな変更はリスクを増加させ、失敗する可能性があります。
  • 急な革新は、顧客、従業員、取引先などに不安や不信感を生じる可能性があり、信頼の構築が妨げられる可能性があります。

まずは、事業承継後は少なくとも2年くらいは、どんなことがあっても先代や先代がやってきたことを否定せず、今の事業の運営や状況をよく理解し、過渡期を安定的に乗り越えることが重要です。
その後、適切なタイミングで革新を検討することが望ましいでしょう。

 

経営革新(新規事業)の考え方

新規事業を検討するに当たっては、一般的には、自社の強みを分析し、それを活かせる分野の模索となるが、その検討プロセスでは、どうしても既存事業からの染み出しレベルの分野となり、普段は認知することはない分野への進出は図れません。

では、普段認知することはない分野への進出を考えるには、どうすればよいのか。ということですが、シンプルに「自分の好きな分野、熱中できる分野」であれば良いと考えます。

例えば、既存事業が鉄工所だとしても、美容に興味関心があれば、美容業を模索すれば良いだろうし、食が好きならば飲食業でも良いでしょう。

そう伝えると一見、乱暴な考えにも見えますが、そこに自社が保有する強みを活かせるかどうか(他社との差別化ポイント)と、ニッチであってもニーズがある市場かどうかという検討は必要です。

また既存事業が景気商売や受注商売(繁閑が激しい収入)であれば、ストック型(積み上がり)を選んで、収入のポートフォリオを組むのもおすすめです。

 

「両利きの経営」でイノベーションを起こす

「企業経営にはイノベーションが必要である」と考える経営者も多くなってきました。

新規事業の開拓は企業の継続的な発展には必須ですが、「収益が得られる既存事業に集中したい」という欲求から逃れることができず、いつの間にか市場の急速な変化に対応できなくなっている企業が多いのが実情です。
例えば衰退するカメラ市場から脱却できなかったコダックと、化粧品市場に挑戦し成長した富士フイルムなどがその具体例として挙げられます。

「両利きの経営」は、企業が成長し続けるには、「既存事業の堅実な改善」と、「未来を見据えた新規事業の探索」の両方が必要と説き、前者は「知の深化」、後者は「知の探索」と呼ばれています。
この2つがバランス良く行われることで、イノベーションは起き、パフォーマンスが高くなる傾向は、多くの経営学の実証研究で示されています。

企業経営にはイノベーションが必要である

しかし多くの企業における新規事業の実態は、「知の深化」の領域であり(既存事業の深掘)、既存事業から少し拡張するくらいのいわゆる「染み出し」レベルとなっています。

 

イノベーションを起こす新規事業の考え方

両利きの経営では、イノベーションを起こすには「今、自社が認知していない領域を探索すること(知の探求)」が必要と説明しました。

新規事業の一般的な考え方は、自社の強みと自社を取り巻く市場の機会を分析して新規事業を模索することが多いですが、それではやはり自社の認知外の新規事業になることは少なく、既存事業の染み出しレベルの新規事業となりがちです。

私は認知外の新規事業を検討していくには、まず第一に「既存事業の市場にとらわれずに、自分が好きな分野」を考えることが重要であると考えています。
そしてその分野を決めれば、その分野で成長していきそうなニッチな市場を探し、そこに自社の強みを活かせるものがあるか、どう他社と差別化できるかという検討プロセスが望ましいと考えています。

 

【ワンポイント解説】イノベーションを起こす新規事業の考え方

両利きの経営では、イノベーションを起こすには「今、自社が認知していない領域を探索すること(知の探求)」が必要と説明しました。

新規事業の一般的な考え方は、自社の強みと自社を取り巻く市場の機会を分析して新規事業を模索することが多いですが、それではやはり自社の認知外の新規事業になることは少なく、既存事業の染み出しレベルの新規事業となりがちです。

私は認知外の新規事業を検討していくには、まず第一に「既存事業の市場にとらわれずに、自分が好きな分野」を考えることが重要であると考えています。そしてその分野を決めれば、その分野で成長していきそうなニッチな市場を探し、そこに自社の強みを活かせるものがあるか、どう他社と差別化できるかという検討プロセスが望ましいと考えています。

イノベーションを起こす新規事業の考え方

この記事の監修・筆者

中谷 健太
中谷 健太
(株)新経営サービス 執行役員
「事業承継&経営革新の専門家」
事業承継士は、事業承継の唯一の資格であり、その専門性は折り紙つき。経営者のハッピーリタイアメントに向けて、事業承継の全体最適・プロデュース(弁護士や税理士をコーディネートする立場)を図る事業承継の専門家です。
これまで後継者不在の会社や、事業不振で廃業を検討していた会社、親族が分裂しかかっていた会社、社長の急逝による緊急対策など、様々なややこしい事業承継を担当。
また事業承継のみならず、補助金や国の中小企業政策も活用しながら、数多くの中小企業の経営革新・組織開発の支援を手掛けている。