【無料】株価算定サイトの比較
事業承継・M&A前に自社株の価値を知る方法
「自社の株価はいくらなのか」「後継者に株式を渡すには、どれほどの資金や税金が必要か」「M&Aで会社を売却する場合、いくらで売れるのか」。
事業承継を考え始めた経営者にとって、株価算定は避けて通れないテーマです。
ただし、非上場会社には証券取引所で決まる株価がありません。そのため、親族内承継・従業員承継・M&Aなど、目的に応じて自社株の価値を評価する必要があります。
まずは無料の株価算定シミュレーションを使い、おおよその水準を把握することが、事業承継対策の第一歩です。
もくじ
非上場株式の算定方法は目的で変わる
非上場株式の株価算定には、様々な考え方があります。代表的な評価方法は次の通りです。
<相続税評価>
- 純資産価額方式:会社の資産を時価で評価し、負債を差し引いて算定する評価方式
- 類似業種比準価額方式:類似する上場企業の株価と配当・利益・簿価純資産の比準割合を用いて算定する評価方式
- 配当還元方式:非上場株式を少数株主が相続や贈与で取得する際に、過去2年間の配当金を基に株式の価値を評価する方式
<M&Aによる譲渡価格の目安>
- 類似会社比較法(マルチプル法):類似する上場企業のマルチプル(評価倍率)を自社の利益などに当てはめて評価する手法
- 年買法:時価純資産に営業利益の数年分を加算して企業価値を算定する簡便な評価手法
- DCF法:会社が将来生み出す「キャッシュ(現金)」に着目し、会社が将来生み出すフリーキャッシュフローを一定の割引率で現在価値に換算する手法
※他、複数の手法あり
ここで重要なのは、親族への贈与・相続で用いる「相続税評価」と、M&Aにおける「譲渡価格の目安」は同じではないことです。
相続・贈与では財産評価基本通達に基づく評価が中心となる一方、M&Aでは収益力、将来性、買い手候補との交渉、非事業用資産などを踏まえて価格が決まります。
無料の簡易株価算定は、正式な税務評価やM&A価格を保証するものではなく、検討の出発点として活用しましょう。
無料の株価算定サイト5選
| サイト | 特徴・主な用途 | 主な入力項目 | 利用時の注意点 |
|---|---|---|---|
| 東商版 すぐできる!株価試算 (東京商工会議所) |
親族内承継を主な対象に、自社株評価額と相続税の参考値を最短5分で試算。 | 業種、売上高、総資産額、資本金等。 直近の決算書・法人税申告書を用意すると進めやすい。 |
メールアドレス登録後にURLが届く方式。 M&A価格ではなく、相続・贈与を意識した簡易評価である点を理解して使いたい。 |
| 日本M&Aセンター 株価算定シミュレーション (日本M&Aセンター) |
M&Aでの企業価値の目安を短時間で確認したい場合に向く。 企業評価の考え方の解説も表示される。 |
所在地、業種、売上高、営業利益、純資産など簡易的な項目のみ。 | 結果はメールでも送付される。M&A支援につながる相談導線があるため、相談を希望しない場合も連絡先の利用目的を確認しておくとよい。 |
| KnowHows 株価算定ツール (ノウハウズ) |
純資産法、類似会社比較法、DCF法の3手法を比較し、複数パターンで確認できる。 | 決算数値に加え、評価方法に応じた財務・事業計画データ。 | 詳細な分析をしたい企業向けで、PC利用が前提。 無料で確認できる範囲と、算定書出力・保存などの有料機能は区別して確認したい。 |
| ASC株価算定研究所 (ASC株価算定研究所) |
DCF法とPERによる倍率法で、M&Aや増資時の時価を自ら試算できる。 メール登録不要。 |
Googleスプレッドシート上で、財務数値、将来のフリーキャッシュフロー、資本コスト等を入力。 | 匿名で利用しやすい一方、DCF法は事業計画や割引率の置き方で結果が大きく動く。 親族への贈与・相続税評価にはそのまま使えない。 |
| M&A Links 簡易株価計算 (株式会社M&Aリンクス) |
決算書の数字から、業種別マルチプルや年買法を用いてM&Aでの株式価値を試算。 | 貸借対照表、損益計算書、詳細版では非事業用資産・一過性損益等。 連絡先も必須。 |
結果はメール送付型で、無料相談の案内もある。 試算後に営業連絡を受ける可能性を踏まえ、M&Aの相談意思と情報提供の範囲を整理して利用したい。 |
事業承継のプロが見る比較ポイント
手軽さを優先するなら、日本M&Aセンターのように売上・利益・純資産を入力するタイプが便利です。
一方で、親族内承継や従業員承継における贈与税・相続税・譲渡額の概算を意識するなら、東商版のように税務上の自社株評価を目的としたサービスを確認するのがよいでしょう。
M&Aを具体的に検討する段階では、純資産だけでなく、役員報酬の調整後利益、遊休不動産、保険積立金、借入金、特定顧客への依存度、後継経営者の有無なども企業価値に影響します。
無料サイトの結果を見て「思ったより安い」「株価が高く、後継者が買えない」と感じても、そこで結論を急ぐ必要はありません。
たとえば、親族内承継や従業員承継では株価が高いことが贈与税・相続税や株式取得資金の問題になります。
しかしM&Aでは、安定した収益力や人材、顧客基盤が評価され、税務上の株価より高い譲渡価格が見込めるケースもあります。
反対に、帳簿上の純資産が多くても、収益性や承継後のリスクによっては希望価格での会社売却が難しいこともあります。
まずは「自社株はいくらか」を知る
事業承継対策は、後継者を決めることだけでは完結しません。株式を誰に、いつ、どの方法で移すのか。
その資金と税負担をどう準備するのかまで含めて設計する必要があります。
まずは無料の株価算定シミュレーションサービスを活用し、自社株がいくらくらいなのかを把握してみてはいかがでしょうか。
その数字を起点に、親族内承継・従業員承継・M&Aのどれが自社と社員、取引先にとって最もよい選択なのかを検討していきましょう。























